1.倫理的(または誠実)

 どんな企業も、倫理と誠実さを持って運営すべきである。この概念を基本理念の1つに掲げると、なぜそれにわざわざ言及しなければならないのか、という疑問を招くことになる。

 2.チームワーク(または協働)

 社員に協力を促す必要があってはならない。力を合わせることは常識だからだ。協働がなされていないのだとすれば、基本理念にそれを含めることは解決策ではない(解決策は、組織設計、研修、プロセスの改善、新たな共通の指標や業績基準などである)。

 3.オーセンティック(自己の信念に忠実であること)

 オーセンティックであろうとする意志は、主張すべきことではなく、ただオーセンティックであらねばならない。また、リーダーが自己の信念に忠実な言動を実際にしていれば、組織もそのようになるはずだ。

 4.楽しさ

 楽しさを重んじる企業だと標榜したら、むしろ頑張りすぎているように映ってしまう。まるで自分はクールだと主張する10代の若者のようで、実際にはそうでないがゆえに、口で言わなくてはならないのだろう。

 5.顧客本位(または顧客中心)

 これも同様で、どんな企業であれ顧客およびその欲求とニーズに沿っていなくてはならない。顧客とのユニークな関わり方を説明する基本理念を掲げるほうが、はるかに差別化を図れて意義深い。

 今日のビジネス環境で競争力を持ちたい企業にとって、上記5つの概念は最低条件にすぎず、自社の特徴や独自の価値を示せてもいない。

 差別化は、ブランド力を高めるカギである。したがって企業の基本理念は、自社を自社たらしめている独自性は何なのか、他社よりも何が際立っているのかを、明示していなければならないのだ。