企業に期待される
社会的レベルの変革

 1992年8月24日早朝、避難所の外へ出た私と家族は、私たちの町──そして私たちの生活──が変わり果ててしまったことを知った。秒速75メートルの風と豪雨を伴うハリケーン・アンドリューがフロリダ州南部を襲い、私たちは数時間、避難所で身を寄せ合っていたのだ。あちこちで家が倒壊し、電線がまるでひものように垂れ下がり、海に棲む生物が流されて内陸の木々にまで引っかかっていた。

 見知らぬ人たちが食料や水を差し入れ、安らぎをもたらしてくれたおかげで、私たちを含む多くの人々は、ハリケーンとその後のつらい日々をどうにか乗り切ることができた。政府が手を差し延べ、私たち自身も助け合う中で、南フロリダには強い連帯感や一体感が築かれた。しかし、いつもの暮らしが戻ってくると、人々の間にまた少しずつ距離ができるようになった。それぞれの家庭、仕事、学校、生活に戻り、以前と同じく疎遠になった。

 さまざまな災害に見舞われた世界中のいろいろな場所を見て思うのは、悲劇がしばしば人々を連帯させるということ、そしてその連帯が短命に終わりやすいということだ。