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孤独がもたらす代償
肥満や喫煙が健康に害をもたらすように、孤独と社会的孤立は身体的不調と密接に関わっている。生産性、イノベーション、組織への貢献に深刻な影響を及ぼし、個人や組織、それに社会全体に高い代償を要求する。また、孤独は周囲に伝染する。集団の中のたった一人から多くの人へ感染し、単なる知り合いにまで広がって、連鎖的に影響を及ぼす。
ただし、よい知らせもある。筆者たちが5年をかけて米国陸軍で孤独に関して研究したところ、負の連鎖は反転可能であることがわかったのだ。集団をまとめ上げる方法について、米国陸軍は昔から熟知していたが、孤独感を和らげて社会的レジリエンス(復元力)を強化することについては門外漢だった。兵士たちがミッションに対して入念な準備を整えるためにも、また生活の質を高めるためにも、孤独感の軽減と社会的レジリエンスの強化という2つは欠かせない要因である。
筆者たちの研究では、生理学的および心理学的観点の両面からこの問題を考察した。減量や筋力強化、健康増進のために運動を始めるように、精神力とレジリエンスを鍛えるエクササイズを通じて、孤独と戦うことができる。この研究の過程で、兵士たちには一連の社会的健康のためのエクササイズに取り組んでもらったが、その結果は希望の持てるものだった。社会的健康の訓練により、兵士たちの孤独感は軽減し、「ウェルビーイング」(well-being)が増進したのである。