強制的な社内イベントは形骸化する

 数年前に働いていた組織の経営上層部は、私の所属部署では、従業員同士の社会的つながりが足りないと判断した。上層部はこのつながりの弱さと孤独は職場でのゆゆしき問題だと見なして、私たちのために週1回の昼食会を企画し、親睦が深まるようにリラックスできる場所と時間を用意した。それは単純で、一見すると立派なアイデアだった。

 しかし3週間もしないうちに、私は昼食会に出向くのをやめた(それからほどなくして、昼食会の参加者は次第に減り、結局は立ち消えとなった)。私の決断は、同僚たちとは関係がない。彼らのことはとても好きだった。私が行かなくなったのは、会話がいつも仕事の話になってしまうからだった。それ以前は、ミネソタ・ティンバーウルブズの試合のスコアや、スティーヴィー・ワンダーのアルバムの自分なりのランキングを考えたり、あるいは何もせずにぼうっとして休憩時間を過ごしたりしていた。ところが、ずっと仕事のことを考えるはめになってしまったのである。それが嫌だったのだ。

 当時の組織のリーダーは正しく問題を見極めたが、解決策は的外れなものだった。彼らだけではない。企業は定期的に強制参加の交流イベントを開催するが、うまくいっても参加者は居心地が悪く、下手をすれば疎外感さえ感じる。典型的なワークライフバランスは、ますます職場中心に変化している。このため企業は、従業員が元気を取り戻し、エネルギーを充電し、再び仕事に打ち込めるように、社外でのつながりを奨励する新しいアプローチを検討する必要がある。