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孤独は個人にとっても組織にとっても不健全
孤独に関する文献を調べてみれば、すぐに痛ましい統計を目にするだろう。すなわち、「心を許して話せる相手がいない」人の割合が1985年以降、3倍に増えて25%に達したというのだ。
これはインターネット上でよく見る統計だが、誤りである。このデータの出所である調査論文[注1]は、米国人の半数近くが孤独を感じているとも示しているが、この論文自体、複数の追跡調査で事実に反することが実証されている。結局のところ、「誰にも心を許せない」人の割合が急増したように見えるのは、調査の構造的欠陥のせいだと判明しているのだ。事実、当該論文の執筆者の少なくとも一人は、データの信頼性が低いことを認めている。しかし、このデータがあまりに生々しいために根強く残り、ミレニアル世代の特性から民主主義後退の理由に至るまで、あらゆることを説明する根拠(あるいは説明材料)として使われている。
実際のところ、孤独を感じる人の割合が上昇しているのか、研究者らは確信に至っていない。孤独を感じる人が絶対数で増えていると報告する調査も一部にはある。孤独を感じる人の割合は変わらなくても、高齢化とともに絶対数が増えるというのだ。また、テクノロジーで状況が悪化しており、大事な人たちとの関係が疎遠になっていると論じる研究もいくつかある。