ウォーターフォール型の限界をいかに乗り越えるか

「1年後に自分たちが誰と戦っているのかが、わからない。それに気づいた時には、自社の進化のスピードでは追い付けない存在になってしまっている」。経営者の方々から、こんな悩みを聞くことが多い。

 特定の製品・サービスにヒトとカネを集中的に投下し、その分野のリーディングカンパニーを目指すベンチャー企業にどう対抗すべきかと、多様な製品を抱える伝統的な大企業が頭を抱えるという光景は、業界・業種を問わずどこでも見られる。これまで圧倒的な地位を築いてきたリーダー企業は、新たなテクノロジーを武器に破壊的なイノベーションを起こそうとしている企業の格好のターゲットとなる。そしてやっかいなことに、世界のどこかで自社のポジションを脅かすことを企図するベンチャー企業が生まれた時点では、その存在を探知できない。それを認識できた時には、容易には取り返せない優位性を築かれている。なかでも、デジタル技術の優位性で企業間の競争が決まるような業界では、そのポジションがあっという間に逆転してしまう。ある時点でトップシェアを誇っていた企業ですら、1年も経たないうちに、その地位を失うことも珍しくない。

 従来型の企業はなぜ、この急速な事業環境の変化に対応できないのか。そこにはさまざまな理由があるだろうが、最も大きな要因の一つは、仕事の進め方と、それを支える組織のあり方にあると筆者らは考えている。