ネットフリックスの採用とは

 筆者は「Aプレーヤー」という言葉が本当に嫌いだ。それは、あるポジションに誰が最も適任かを決める格付けシステムを思わせる。筆者はネットフリックスで1998年から2012年まで最高人材責任者(chief talent officer)を務めたが、さまざまな人事担当者からいつも「ネットフリックスはどうやってAプレーヤーばかり雇うことができたのですか」と聞かれた。そして、こう答えていた。「Aプレーヤーしか住んでいない島があるのですが、それがどこにあるかは一部の者しか知りません」

 実のところ、ある会社のAプレーヤーは、別の会社ではBプレーヤーかもしれない。こうすれば人は成功するという公式などない。ネットフリックスで芽が出ずに辞めた人も、別の仕事では力を発揮した例がたくさんある。

 正しい人材を探す時に「カルチャーフィット」(企業文化への適合性)が重要だというのも当たらない。「あの人はうちの文化に合っている」というのは、ほとんどの場合、その人となら飲みに行ってもいいという意味にすぎない。だが本当は、あらゆる種類の人が仕事で成果を出す可能性を秘めている。この誤った採用方針により、会社の多様性も損なわれる。いっしょに飲みに行きたいような人は、自分と似た経歴の持ち主であることが多いからだ。