SSMWは、さまざまな分野の女性数百人との面談・交流から生まれた。その意図するところは、職場での人間関係を害するおそれがある侮辱について、ひいては、敵対的な職場環境を創出、あるいは永続させかねない侮辱のレベルに精通していく過程で、男性と女性、および組織がSSMWを設計図として活用することにある。

 最も重要なことは、SSMWを活用すれば、セクシャル・ミスコンダクトについて話し合う手段が確保され、ソリューションを策定することで、女性に対する反発を止める方法が得られることだ。また些細であるにせよ、極端であるにせよ、女性が「侮辱的」と見なす言動に対して、いつ、どのように対応すべきかを決断する助けにもなる。組織レベルでは、働く文化の改善および対立や訴訟のリスク低下を目指すトレーニングを実施するフレームワークとして、SSMWを活用できる。

 SSMW(下図参照)からわかるように、「セクシャル・ミスコンダクト」という用語には、軽度の侮辱から明らかなセクハラ、性的虐待までが含まれる。

 SSMWに最も軽度なレベル(「概して侮辱的ではない」言動)を含めている理由は、女性たちから直接、繰り返し聞いた話に基づいている。女性の見た目や服装についての発言は、一見当たり障りのない言動だが、性的意味合いを帯びた視線やジェスチャーを伴えば、ミスコンダクトになりうるのだ。さらに、私がインタビューした女性たちは、そうした発言や行動がある程度の頻度で繰り返されれば、侮辱的になりうると考えている。

 言動がどのカテゴリーに該当するかは、状況やこれまでの関係、口調および非言語的な行動によって決まる。だが、セクシャル・ミスコンダクトに関する議論を円滑に進めるために、一般的な例をいくつか提供することは可能だ。

 たとえば、「今日はステキだね」とか、「今度のヘアスタイルいいね」といった発言は、十中八九、最初のカテゴリーの「概して侮辱的ではない」に該当する。一方で、「あなた方女性がいると、我々はもはやざっくばらんに話すことができない」といった発言は、少なくとも「気まずくさせる/軽度に侮辱的」と解釈される可能性が高い。一方的な抱擁や、「女性は家族のことに気を取られている」と遠回しに、あるいは、はっきりと言うなどの言動は、SSMWの尺度では「侮辱的」に分類されるだろう。

 知性ないしはスキルが劣るのは女性だからだ、という冗談やほのめかし、あるいは対象となった人を恥ずかしめたり、侮辱したり、卑しめたりする意図で体形を話題にした発言は、「極めて侮辱的」のカテゴリーに属する例だ。さらに進んで、SSMWで「明らかなセクシャル・ミスコンダクト」に分類される行為には、性的に挑発するような視線で女性をじろじろとながめ回す行為や抱きしめ、接触、キス、あるいは、女性が親密な関係を望んでいないと表明したにもかかわらず。それを無視するなどといった行為が入る。SSMWの末端部にある「重大なセクシャル・ミスコンダクト」には、思わせぶりに女性に体を押し付けて、性的行為や性行動を拒否する女性にキャリアが終わるとほのめかしたり、脅したりする行為などが入る。

 これらの例をどこに配置するかについては、SSMWを使用するチームごとに多少変わる可能性がある。またそれぞれの企業文化に適切な追加事例を作成してもいいだろう。

 SSMWは、男性による女性への侮辱的言動に焦点を合わせているが、セクシャル・ミスコンダクトは多くの形態を取りうることに留意する必要がある。間違いなく女性も、侮辱する側になりうる。議論を進めるための設計図としてSSMWを活用する付加的なメリットは、セクシャル・ミスコンダクトのさまざまな形態と、効果的に対処していく方法を同時に特定できることである。