従業員はハンモックではなく
意義ある仕事を欲している
マッコードの人材管理の考え方で興味深いのは、従業員のやる気や忠誠心を引き上げるためには、企業が積極的に特別な働きかけを行うべきだという、従来の常識を完全に否定していることではないか。そうではなく、従業員一人ひとりを大人として捉えて、彼らが目の前の仕事を通して自発的に学ぶ機会を与えることこそモチベーションにつながると信じて、それを徹底している。
たとえば彼女は、『ハーバード・ビジネス・レビュー』のオンライン版記事「ネットフリックスの元最高人事責任者は、ベンチャーの従業員特典に警鐘を鳴らす」で、このように語っている。
「私が成功を見込むスタートアップ(または、もし初めて就職する立場なら選びたい会社)は、従業員がハンモックに揺られながら『本日の地ビール』を飲んでいるような会社ではない。素晴らしい同僚たちと力を合わせて重要な製品を生む、そのために従業員が出社してくるような企業である。特典はあれば結構だが、意義ある仕事のほうがもっといい」
優秀な人材を採用することに腐心し、彼らに仕事の機会を与えることで育て、成果を上げられなければ去ってもらう。破格の成功報酬や福利厚生でつなぎとめるのではなく、企業としてより健全な形を目指した結果が、自分にも他人にも正直であることを徹底したいまのネットフリックスであり、彼らの競争優位を築く源泉なのではないだろうか。