最近の拙著Dream Teamsの中で、私はこれら2つの評価方法、すなわちペパーダイン大学の知的謙遜診断とビッグ・ファイブ性格診断を組み合わせて、数千人もの米国人労働者を対象に、開放性の高い人々と、彼らの生活や仕事の仕方との相関関係を見出す研究を行った。同じテストはこちらのサイトで受けることができる。
診断の結果、ほとんどの人は自分を過大評価することがわかった。自分は平均より開放性があると95%の人が評価したのだ。もちろん、そんなことはありえない!しかし、これが示唆するところは、知的謙遜が職場で盲点になっていることを知らないリーダーが大半だという点である。
私の研究によると、ある特定の活動は、ほぼ例外なく、より高い知的謙遜と相関関係にある。たくさん旅行をすること、さらに望ましいのは、外国文化の中で長期間暮らすことであり、そこには自分の考え方をみずから見直す傾向が見られる。
結局のところ、自分と違う生き方がいたって妥当であると理解できれば、職場の問題に対しても新しいやり方を受け入れやすくなる。これは理にかなっており、ストーリーテリングが他者への共感力を育むという、神経科学の最近の研究とも一致する(興味深いこのテーマについては、神経経済学者ポール・ザックによるHBRの記事を参照してほしい)。
小説を多く読む人も、知的謙遜の診断で高得点を取る傾向にある。察するにそれは、自分の人生とは異なるストーリーを見出し、登場人物の経験と意見は妥当かもしれないと考えるように、頭脳が鍛えられているからだろう。予備調査によると、マインドフルネス瞑想の実践やエニアグラムのような枠組みを使って自我全般について学ぶこと、あるいはオープン・マインド・プラットフォームなどのプログラムを通して道徳基盤理論について学ぶことは、知的謙遜を高めて仕事をする一助となる。
知的謙遜を高める方法を模索するには、各項目の点数を決定的に高める方法に関するさらなる調査などが必要だが、ベンジャミン・フランクリンがとりあえず、誰でもいますぐ使えるテクニックを少なくとも1つ示してくれた。
彼は常に学び成長したいと考えていたので、自分の知性に自信を持ちすぎないよう努力した。「私が間違っているかもしれないが……」と言うのは、話し相手の自己防衛心を緩めるためだけではなかった。考え方を変える開放性を、みずからに持たせるためでもあったのだ。
彼の意見に反論する人が議論に勝ったら、こう言えばいいのだから。「ね、言った通りでしょう?『私が間違っているかも知れないが……・』と言いましたよね。やはり私は間違っていました!」と。
HBR.ORG原文:A New Way to Become More Open-Minded, November 20, 2018.
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シェーン・スノウ (Shane Snow)
科学の教訓をビジネスに応用したDream Teams(未訳)などの著者。