こうした動きを多数の雑音と切り捨てる前に、過去の社会運動で若者が果たした役割を考えてみよう。
ベビーブーム世代は10代だったときに、反戦運動を率いた。
かの有名なグリーンズボロの食堂カウンターでの座り込み抗議を主導したのは、17~19歳の若者4人だった。アフリカ系米国人の若者たちが勇気を奮い、学校の人種差別を撤廃に導いたのだ。そして、バスで白人に座席を譲ることを拒んで初めて逮捕された人物は、実はローザ・パークスではなく、15歳のクローデット・コルビンだった。
その後のX世代と、続くミレニアル世代は、LGBTの権利と同性婚に関する議論を目覚ましい勢いで進展させた。
実際のところ、重要な社会運動で、恐れを知らない若者たちが中核を担わなかった例は、あまり思い当たらない。
そしていま、ソーシャルメディアという強力なツールと常時のネット接続性により、社会運動のペースは加速している。昨年発生した、フロリダの学校での恐ろしい銃乱射事件を生き延びた「パークランド・ティーンズ」は、数日でツイッターのフォロワーを何百万人も獲得した。その数週間後に彼らが呼びかけたデモ行進には、世界中で100万人以上の人々が参加した。そして1年後には、米下院で本格的な銃規制法案が四半世紀ぶりに可決された。
現在の気候変動に関するムーブメントは、反戦運動、公民権運動、同性愛者の権利運動のように大々的なものになるだろうか。予測は難しい。しかし、気候をめぐる価値観が大きく変わる最中にあることは明らかだ。
気候変動否定説の支持や、「ゆっくりいこう」という姿勢は、若い活動家や彼らに触発された数百万の人々にとっては、もはや受け入れられない。彼らは、今後70年も80年も「災害映画」のような暮らしをさせられることを快く思わないのだ。