ポーターは、産業経済学の論理を競争戦略に応用し、産業構造を分析するフレームワークを提示した。本稿を第1章とする『競争の戦略』は1980年に上梓され、戦略論の世界に新風を巻き起こすことになる。ポーターは、産業内の競争を支配する5つの要因を明らかにし、自社に有利に働き、競争を支配しうるポジショニングを見出すことが競争戦略の要諦であると説く。現在、このポジショニングのアプローチの限界も指摘されているが、この考え方はいまなお、競争戦略の基本である。