スタートアップを卒業して
真のグローバル企業を目指す

 2018年12月、私は日本GEを退社し、同年6月にIPO(新規株式公開)を果たしたばかりのメルカリに参画した。そのきっかけとなったのは、その年の夏、知人の紹介で社長の小泉文明と話したことである。

 小泉は、メルカリの社員数が1000人を超えたことで社内制度などの仕組みづくりが優先課題になってきたこと、グローバル化を急速に進めており、日本と米国はもちろん、それ以外の国でもサービスを展開していくこと、すでに約40カ国から人材を獲得し東京オフィスの社員の約2割が外国籍になったことなどを説明し、「数千人の組織規模を前提に、外国籍の社員も含む多様な人材がフェアに評価されて活躍できる人事制度に、アップデートしていきたい」と語った。

 私はそれまで、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)で5年間、ゼネラル・エレクトリック(GE)で17年間、外資系企業の人事畑を歩んできた。次は世界に挑戦する日本企業を応援したいという気持ちを強く持っており、小泉の話を聞いて自分の経験をメルカリで活かせると考えた。ここで働きたいと思ったもう一つの理由は、急成長したメルカリが組織や人材面で多くの課題を抱えた「課題解決遊園地」であることに、「やりがいがある挑戦の場だ」と感じたからである。