把握されていない採用活動の費用対効果
企業が今日ほど盛大に採用活動をしている時代はない。かつてないほどの金をかけている。そして、これほど成果が上がらない時代もない。
第二次世界大戦後のほとんどの期間、大企業の採用活動は次のような感じだった。まず人事部の専門家が詳細な「職務分析」を行い、その仕事でどのような作業が求められるか、どのような特徴を持つ候補者が好ましいかを決定する。次に「職務評価」を行い、その仕事を組織図のどこに当てはめるか、支払う給与は──特に他の仕事との釣り合いを考えて──どの程度が適当かを判断する。そして求人広告を出して、応募を受け付ける。
次の作業は応募者の選抜だ。実技試験、推薦情報のチェック、場合によっては性格診断やIQテスト、さらに集中的な面接を行って人間性もよく見極める。ウィリアム H. ホワイトは著書『組織のなかの人間[注]』で、このプロセスは選ばれた者が仕事を勝ち取るまで1週間も続くと書いた。未経験者採用を除けば、大半のポストは自社内で埋められるのが通例だった。