羨望は、心の奥底で感じている引け目から生じることが多い。我々は自分の持っているもの、欲しいもの、自分にふさわしいと感じるものに関して、劣等感を抱かせる相手を恨む。そもそも、そのような感情を抱く自分自身が嫌になりがちだ。
こうした感情に負けまいと、自分が満足できるような比較をする。きわめて人間的な反応とはいえ、リーダーたちがこのように振る舞うと、他人を下に見ることで自分の価値を上げるような文化が形成されていく。そして、そのような文化は、信じられないほどの破壊力を持つ。
研究者のブルーナ・マルティヌッジによると、羨望は企業文化に悪影響を及ぼすだけでなく、チームの士気にも悪影響をもたらす、最終的には社員のやる気の喪失を招く。
職場の個室の広さやミーティングへの招待といった、奇妙な「貨幣」がステータスの象徴となり、権利意識や不信感をもたらす。このような羨望に端を発する感情が見過ごされていると、「公正」を求める人たちの不合理な争いをあおる可能性があり、些細な相違が基本的正義に関わる大問題に変わってしまう(「彼女が毎年オフサイトの集まりに行けるのに、どうして私は行けないのか」)。
これは、より重要な仕事から注意をそらすだけでなく、より深い問題の解決を妨げる。より深い問題とはすなわち、他人との比較に基づいて自分の幸福度を判断したり、他人との比較で勝利することに時間をかけたりすることから生じる問題である。羨望感が強くなればなるほど、社員の熱意と生産性が低下するのは驚くに当たらない。
このような悪循環を止めるべく、リーダーは比較のストーリー(「あなたが持っているものを私も持つ権利がある」)を、親善的なストーリー(「あなたが持っていることは私にとって喜ばしく、私は自分が持っているものをありがたいと思う」)に変えていく必要がある。
このシフトは、簡単なことではない。しかし、リーダーが優先的にこの問題に取り組まなければ、部下たちが全力で仕事に向かったり満足できる目的意識を発見したりすることは、けっしてない。団結と信頼と寛容の文化をつくるためには、まず羨望に基づく自分の行動を認識し、それを食い止めなければならない。
それを始めるための3つの方法を、ここに挙げる。