オンデマンドのeラーニングで教育プログラムを提供
――教育や研究の対象となるのは、既存の学生、大学院生ですか。
学内に対する機能を、学外に対しても提供しようと考えています。
その前にお伝えしたいのは、データサイエンスを活用するには、応用先である専門分野の知識が必須であり、DSセンターでは専門領域の知見とデータ分析能力の融合にフォーカスを当てているということ。専門知識の上にデータサイエンスの能力を積み上げていくことによって学生や若い研究者の能力を引き上げていく、そんなイメージです。
我々は学部と大学院を合わせて学術院と呼んでおり、早稲田大学には政治経済学術院や法学学術院、文学学術院、理工学術院などいかくつかの看板となっている学術院がありますが、DSセンターはそれらを横串的につなぐ役割を担います。すべての学術院に対して、1~3年生にはデータサイエンスの基礎教育プログラムを、4年生・大学院生には、データサイエンス研究に対する解析相談・コンサルティングを、ポスドク・研究者には学際的な共同研究の展開をそれぞれ提供していきます。
具体例として、解析してほしいデータを所有する研究者とデータ解析能力に長けた研究者のコラボレーションを促進する「研究者マッチング」や、データの分析方法について相談したい学生や若手研究者にアドバイスする「データ科学研究相談」といった研究・教育支援を提供しています。2018年度は延べ35件の研究相談がありましたが、意外だったのは理工学術院だけでなく、政経、商学など幅広い学術院から利用者があったことです。
――すべての学術院を対象としたデータサイエンスの教育プログラムとは、どのようなものですか。
センター試験を受けていない数学やコンピュータが苦手な文系の学生を含め、全学術院に展開するために、フルオンデマンドのeラーニングとしました。さらに、教育コンテンツを内容に応じて細かなモジュールに分割したことで、各人が自分に合ったスタイルでコンテンツを組み替え、学習することができ、学部や学年による知識の内容・レベルのばらつきを吸収することも可能です。
モジュール化されたオンデマンドのコンテンツとしたことで、社会人教育にも有効利用できると考えています。たとえば文系出身の営業の方にデータサイエンスの教育をしたいという場合も、その方のレベルに合わせた複数のコンテンツを組み合わせることで、対応可能です。オンデマンドなので自由な時間に勉強できる点も適しているでしょう。
実は、DSセンター発足以来、いろいろな企業からいろいろな形でのアクセスがあるのですが、一番お困りになっているのは、研究よりも教育だという話が多く聞かれました。たとえSEであっても、プログラムやシステムに関する知識はあるけれど、データから結果を導き出すといったことは意外と勉強されてないため、それをきちんと学びたいと言います。学外からのニーズがあまりにも高いため、2020年4月から学外向け教育も提供していく予定です。