日本のコンテンツ業界はゲームやアニメなどで、世界的に大きな存在感を放ってきた。しかし、近年は中国や韓国といったアジア諸国の躍進が目立ち、日本の相対的なシェアは低下傾向にある。そこで、アクセンチュアの阿迦井柊氏が日本のコンテンツ産業の現状とさらなる発展への処方せんについて解説する。
かつての勢いを失いつつある日本のコンテンツ業界
『ポケットモンスター』『ONE PIECE』『ドラゴンボール』『ドラゴンクエスト』――。
日本は、ゲーム・アニメ・漫画を中心に、コンテンツ大国として世界で大きな存在感を放ってきました。コロナ禍における巣ごもり需要の後押しもあり、いまや国内のコンテンツ市場は年間13.3兆円(2022年度)と国の一大産業になっています。
国際収支を見ても、2021年で約2兆円の黒字を計上しており、輸出産業としても非常に有力であることがわかります(財務省「2021年 国際収支統計」より〉。
一方、グローバルの市場を俯瞰してみると、近年では中国や韓国といったアジア諸国の躍進が目立ち、日本の相対的なシェアは低下傾向(グローバル全体の年平均成長率2.0%と比較して、日本は1.4%)にあるため、甘い見立ては禁物であるといえます。
では、これまで日本が世界で存在感を放ってきたコンテンツ市場において、現在どのような地殻変動が起きているのでしょうか。
次ページ以降では、「コンテンツの過剰供給」と「開発コスト高騰」の二重苦の市場環境において、日本企業がさらなる成長を実現しうる方向性として「クリエイターの創発力と科学的な経営の融合」という観点からひも解いていきたいと思います。