山梨学院大学を中心に幼稚園から大学院までを設置するC2C Global Education Japanは2021年4月、山梨学院から現法人名に変更し、グローバル人材の育成をいちだんと強化するとともに、世界を舞台にしたグローバルな教育グループを目指している。

「全学的国際化」という改革ビジョンの下、急ピッチでのグローバル化を陣頭指揮してきた若き理事長、古屋光司氏が描く教育機関としての未来像はどのようなものなのか。公共セクターや教育機関のマネジメントに精通する、アクセンチュアの梅村透氏が迫った。

全学挙げてグローバル化に舵を切る

梅村 C2C Global Education Japan(以下C2Cグループ)は、2010年代から日本の教育機関として、ほかに類を見ないスピード感でグローバル化を進めてこられました。具体的にどのようなアクションを取ってこられたのか、あらためてご説明いただけますか。

古屋 まずは私どもの母体である山梨学院大学から、「全学的国際化」というビジョンに基づき、グローバル人材の育成を強化してきました。ビジョンの実現に向けて、2030年までに学生・教員・職員の外国人比率を30%に引き上げ、全授業科目の30%を外国語で開講する「30プロジェクト」を推進しています。

 その主軸の一つが、2015年に新設した国際リベラルアーツ学部(iCLA)です。iCLAは授業のほとんどを英語で行い、幅広い学問分野を横断的に学べるリベラルアーツ教育を実施しています。

 当時、すでにいくつかの有力大学が国際系の学部を新設しており、その中で我々は後発だったこともあり、iCLAの立ち上げ当初は日本人学生の募集に苦労しました。そこでターゲットを思い切って留学生に絞り、海外での募集に力を入れたところ、ようやく花が開き始めたのですが、感染症拡大で世界の留学生マーケットがいっきに縮小しました。ここに来て、ようやく留学生が戻ってきています。

 現状では、在学生の約7割は留学生が占め、正規生だけで40以上の国と地域から約200人の学生が学んでおり、海外の提携大学からの交換留学生も含めると50以上の国々から学生が来ています。専任教員の約6割は外国人教員です。

古屋光司
学校法人C2C Global Education Japan 
理事長
Koji Furuya

2001年東京大学法学部卒業。2004年弁護士登録。2006年山梨学院(現C2C Global Education Japan)法人本部秘書室長。山梨学院大学法学部法学科准教授などを経て、2013年山梨学院理事長補佐、2015年山梨学院大学副学長、2018年山梨学院理事長兼山梨学院大学学長。2021年4月よりC2C Global Education Japan理事長。

 もう一つの主軸は、経営学部における留学生の受け入れで、特に中国人留学生を数多く受け入れています。山梨学院大学では、1990年代半ばから中国人留学生の募集を積極的に行ってきました。2000年代に入って中国の所得水準が上がるにつれ、自費留学できる中国人留学生が増えてきました。そこで、2010年代から、さらに募集のてこ入れを図り、いま中国人留学生がどんどん増えています。

 2022年度の新入生は留学生の比率が25%でしたので、「30プロジェクト」の目標を前倒しで達成できそうです。