価値観を共有した教育プラットフォーマーを目指す

梅村 さらなるグローバル化を見据え、まずは足元を固めるための大事な一歩として、アクセンチュアも支援させていただいて土台となる山梨学院大学の基幹システムを2022年4月までに全面刷新し、業務の標準化を推進されました。今後は、これらをベースにグローバルなガバナンス体制の構築や、グローバル全体での高効率なオペレーションの整備を進めていくことが、チャレンジの一つであると認識しています。

 古屋理事長ご自身は、将来展望を実現させていくためにどのようなチャレンジがあるとお考えですか。

古屋 一連の改革の成果で、法人としての資金収支はV字回復しましたが、グローバル展開を進めていくうえでは、おっしゃる通り、さらに経営の効率化や安定化を図り、質の高い教育を提供していく必要があります。

 もう一つのチャレンジは、C2Cグループ内のグローバル人材の育成と採用です。現在は、本部職員が海外現地法人の役員を兼務する形で、グローバルな経験知を高めているほか、グローバル企業などからも人材を採用し、現地法人のカギとなるポジションに派遣しています。

 ただ、日本から人を派遣しているのはC2Cグループとしての教育理念や組織文化を浸透させていくための過渡的な措置で、日本人がグループ全体をマネージする組織にしようとは思っていません。

 すでに中国とインドの現地法人は、ローカルの人材が代表を務めており、事業運営については国ごとに自走していってほしいと思っています。理念や文化を共有できていれば、教育カリキュラムは国ごとの特色があってしかるべきです。

梅村 最後に、C2Cグループが目指す教育の未来像について聞かせてください。

古屋 アジアを地盤とする教育のプラットフォーマーを目指しています。プラットフォーマーといってもIT的な意味ではなく、アジア圏の文化や思想的背景に根差しつつ、どういう社会をつくるためにどんな能力を持った人材を育成していくか、どんな価値観を持つ大人に育てていくのか、そういう根幹となる部分を共有している教育グループです

 そうした教育グループとして多数の国や地域に学校を展開すれば、さまざまな点でシナジー効果を利かせることができます。たとえば、留学をはじめとした国際交流を活発化させ、国・地域をまたいだ進学を仕組み化することもできます。

 私たちは、利益や株主還元の最大化を目的に学校を運営しているわけではありません。学校教育を通じて国際交流や異文化理解を深め、多くの国や地域に友人を持つ子どもたちが増えれば、その子どもたちが大人になった時、友人のいる国とは敵対せず、友好的な関係を維持していきたいと真剣に思うはずです。

 そうなれば、国際紛争のない平和な人類社会を実現できます。理想論に聞こえるかもしれませんが、C2Cグループがグローバルな教育プラットフォーマーを目指す究極の目的はそこにあります。

梅村 世界中の多くの人が共感できるパーパスだと思います。グローバルな教育グループとしてのさらなる発展を大いに期待しています。