CRMプロジェクトは成長に寄与しない
2017年『CIO』誌が、CRMプロジェクトのうち、3分の1程度は失敗に終わると報道した。その根拠は、多くのアナリストによるリポートの失敗率の平均値だが、その数値は18%から69%まで並ぶ。成功できないというのは、予算超過、データの整合性における問題点、技術的制約など多くの課題を物語っている。ところが、筆者がクライアントに、CRMシステムが事業の成長に役立っているかどうか尋ねると、その失敗率は90%近くに上昇する。
企業の売上増に貢献するという目標を達成できない主な理由は、CRMが営業プロセスの改善ではなく、点検目的に使われることがあまりに多いからだ(点検目的とは、進捗報告、予測精度向上、可視化、プロジェクト完了期日予測、他のビジネスインテリジェンス各種の提供など)。現場の営業部員とマネジャーたちに言わせれば、こうした機能が会社の売上げを伸ばすために役立つことは、まずない。
今日のCRMはまた、経営トップから、技術、マーケティング、財務など諸部門まで、非常に多くの「ご主人」に仕えていて、そういえば営業部門もその一つだ、といった感がある。CRMはどのソフトウェアシステムでも、より多くの目的に対応しようとして、妥当なところには落ち着かない。