より良いネットワークを築く

 大企業は、ネットワークの育成に大きな役割を果たすことができる。

 世界の多くの地域で、女性が率いる小規模事業は、グローバルなサプライチェーンにおいて卸売業者や小売業者、供給業者など、重要な要素を担っている。これらの女性起業家が、資金調達や在庫管理など、あらゆる面で洞察や助言を得られるように支援するネットワークを、企業が発展させることができるのだ。たとえば、消費者向けパッケージ商品について、非営利組織や事業者団体、地元の商工会議所などと連携すれば、商品を売る小さな店を営む女性たちをつなげることができる。

 女性が率いる事業をこのように支援することは、企業にとってもいい話だ。うまくいけば、より多様で信頼できるサプライチェーンを築くことができる。BCGの調査からも、このような取り組みは、企業が株主への利益還元を増やしながら、社会的な目標を追及する機会になることがわかっている

 女性起業家を支援するすべての組織は、企業や国際的な支援団体、あるいは政府も、女性のためのネットワークを構築して発展させることによって、自分たちの影響力を高めることができる。優れたネットワークには、目的(Intent)、インクルージョン(Inclusion)、交流(Interaction)の3原則が必要だ。

 ●目的(Intent)

 最初に、ネットワークの目的を明確に定義する。

 アドレス帳の見かけを整えただけでは意味がない。そのネットワークに参加したら、女性は何を得ることができるか。人的資源と経済的資源に加えて、社会資本へのアクセスも得られるか。女性が事業の具体的な目標を達成するうえで、ネットワークはどのような支援ができるか。

 起業家支援コミュニティのエンデバー(Endeavor)は、メンターと投資家のネットワークが、影響力の高い起業家を世界中から選んで支援し、彼らの事業の成長を加速させ、ビジネスの助言と経済的な資本へのアクセスを提供するという明確なミッションを掲げている(BCGはエンデバーを支援しており、パートナーシップを結んでいる)。

 ●インクルージョン(Inclusion)

 次に、ネットワークは参加者を慎重に選ばなければならない。

 優れたネットワークには、非常に熱心な創設者がいる。創設者は個人、NGO、企業を問わず、そのコミュニティに長期的な利害関係とプレゼンスを持つ人や組織が好ましい。

 また、積極的なメンバーと、メンバーの多様な基盤が必要だ。新しい起業家と、より実績のある企業の経営者が混在していて、さらに彼らの文化的背景が多様であると理想的である。

 メンバーの取り組みと関与を促進するために、会費を有料としたり、出席を義務づけたり、入会時に面接や身元調査を要求したりすることもできる。

 ●交流(Interaction)

 公式な交流と非公式な交流の双方を促進するようなネットワークを構築する。公式なトレーニングも重要だが、非公式の1対1の交流は、信頼を築き、ネットワークが長期的に意義を持つために欠かせない。

 この分野では、オンラインのプラットフォームが大きな役割を果たす。ナイジェリアのチェリー・ブレア女性財団は、公式なメンタリング・プログラムのほかに、非公式な関係も促進している。メンバーや卒業生がいつでも自由にアクセスできるオンラインフォーラムがあり、アイデアを交換したり協力したりしているのだ。

 女性起業家には世界を変える力がある──けっして大げさではない。起業に関する男女格差を解消して、女性が経営する企業の成長を加速させれば、世界中の市場に新しいアイデアやサービス、製品が次々に登場するだろう。それを実現させるには、あらゆる資源へのアクセスを女性に確実に与える必要がある。特に、強力なネットワークという社会資本が不可欠だ。


HBR.org原文:The Trillion-Dollar Opportunity in Supporting Female Entrepreneurs, October 31, 2019.

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シャリニ・ユニクリシュマン(Shalini Unnikrishnan)
ボストン コンサルティング グループ、消費者およびソーシャル・インパクト・プラクティス/ソーシャル・インパクト・グローバルリーダー。

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ボストン コンサルティング グループ、フィラデルフィア・オフィス、プリンシパル。大規模な変化と社会的インパクトの専門家。