「中期計画策定」の形:
さまざまな年齢・役職の社員代表68人で案を描き、全社員で案を磨く

河村 中期計画策定では、「顧客」「教室ネットワーク」「指導者」「社員・事務局」の4つの大テーマについて、25年にどんな状態を目指していくのかを検討する6つのワーキンググループ(WG)を設置しました。

海野 このWGメンバーの選定は、そのテーマに最もふさわしい人を、年齢、役職を問わず、現場の視点・全社視点で深く考えることが期待できる人材をさまざまな方から推薦してもらい決定しました。

河村 結果、参加メンバー68人と大所帯になりましたが、年齢は20代から60代、入社3年目の社員から取締役まで、地域も九州から北海道までと多種多様なメンバーになりました。

海津 全社の中期計画策定となると、会社の上層部・少数のメンバーが集まってクローズに作られるか、もしくは、各部の計画を集めてホチキス止めされただけになることが多い印象です。入社3年目の社員から取締役までが同じ検討グループとして集い、会社の未来を共に考える。かつそれが、ただ考えるという形だけに終わらずに、実際に御社の中期計画の内容になる。まさに“時計をみんなで作る”形の中期計画の作り方ですね。

河村 そうですね。かつ、WGメンバーに閉じず、その検討内容について全社員に意見を聞く意見公募を大きく2回設定しました。

 その際にこだわったのが、個人でも、有志のメンバーで集まっての意見でも、また所属部署の意見でもどのような形でもいいことにしたことです。さまざまな社内の会議の場などを通じて、繰り返し、各部署での話し合いをお願いし、結果多くの部署単位での参画がありました。各部署で話し合ってもらうことで、日常の業務とのつながりを持ったリアルな意見が出てきたと感じています。                                                   

 意見公募に関わった社員は、1回当たり1400人と全社員の約7割に上ります。この公募での意見を基に、当初の提案内容から反映すべきものは反映し、未来創造の最終アウトプットに組み込んでいきました。

海津 「意見公募」は言葉だけだと他の会社でも事例が散見されますが、ただ自由に社員から意見を募集するのではなくて、その間に各チームで対話する時間を設けている点や、その問い掛け方の工夫によって、一人ひとりが会社の未来のことを考え、自分ゴト化させていくような仕掛けになっていますね。

河村 ありたい姿を目指すためには自分たちの部署をどうしたいかを、部署で考え話し合ってもらうことで、日常の業務と未来とが少しずつつながっていきました。このプロセスを持てたことが大変良かったと思います。このような設定に対して、多くの人たちが自らの意思で参画してくれたことには、本当に感謝です。

 意見は1000項目近くにも及び、これらの意見をできる限り最終のアウトプットに盛り込みました。何を盛り込めば良いのか、悩みました。結局、丸1日をかけ、WGのリーダーとワークショップを行ったのですが、全てを突き合わせながら、「そもそも未来創造は何のため? 誰のため? なぜ今?」といった改革の原点に立ち返りながら議論を続けたところ、「もっと子どもたちを伸ばす-その一点を真ん中に」という強い軸が出てきました。最終的に理念に基づくこの言葉に行き着き、そこからグッと案が収斂されていきました。

海津 一見バラバラに見えていたものが、「もっと子どもたちを伸ばす」という言葉を再確認した瞬間、いろいろなもののつながりが一気に生まれて、まとまってきたのですね。

 こうして作られた中期計画を、どのように「一人ひとりが主役」の形で実行していったのですか?

後編に続く