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ロイヤルカスタマーは、より多くのお金を使ってくれたり、好ましい口コミを広めてくれたりするなど、企業が最も大切にすべき存在である。彼らを囲い込むためにロイヤルティ・プログラムを設ける企業が増えているが、具体的にどのようなコミュニケーションが有効なのか。あるリゾート会社のフェイスブックの投稿分析から、ロイヤルカスタマーに刺さる投稿の共通点を紹介する。


 近年、なんらかのロイヤルティ・プログラムを設ける企業は増える一方だ。最近の報告書によれば、この種のプログラムの会員になっている顧客は、購入金額が多く、長期にわたって取引してくれるだけでなく、好ましい口コミを広めてくれる可能性も高い。

 化粧品、ファストフード、ホテルなど、さまざまな業種で、ロイヤルティ・プログラムの導入が広がっている。たとえば、小売大手のターゲットは2019年のクリスマス商戦を前に、「ターゲット・サークル」というプログラムを発足させた。徹底したテストマーケティングの結果、プログラムの会員はそうでない人よりも購入金額が多くなるとわかったからだ。

 ロイヤルティ・プログラムの会員は、たいてい最も価値のある顧客で、そのブランドとすでにある程度の付き合いがある。さまざまなチャネルを通じて、そうした大切な顧客とどのようにコミュニケーションを取るべきか、考えることが重要だ。

 私たちの研究(論文は現在執筆中)によれば、なかでもソーシャルメディアは、ロイヤルティ・プログラムが売上げに及ぼす好影響を強める効果がある。ただし、ソーシャルメディアの使い方を間違えないよう注意しなくてはならない。

 私たちの研究では、ソーシャルメディアで発信するメッセージがオンライン経由の売上げに及ぼす影響を、ロイヤルティ・プログラムの会員とそれ以外の顧客のそれぞれについて調べた。調査対象は、欧州でスノー・リゾートを運営する企業だ。

 まず、この会社のフェイスブックへの投稿3500点をブランド体験の5側面ごとにスコアづけし、どの側面が強いかによって分類した。スコアの判定は、ソーシャルメディアの専門家が行った。

 5つの側面とは、具体的には以下の通りだ。

 関係型の投稿は、メッセージの直接の受け手以外と結びつくことも目指す。たとえば、製品をほかの人と一緒に使うよう促したり、同好の士で構成される「トライブ(部族)」の一員になるよう促したりする。

 知性型の投稿は、受け手に意識的な思考を促す。そのために、ユーモアや問題解決や独創性などの要素を投稿に盛り込む。

 行動型の投稿は、なんらかの活動や製品・サービスとの関わりについての情報を含む。

 感覚型の投稿は、受け手の感覚を刺激する。刺激的な画像やマルチメディア・コンテンツを含む場合が多い。

 感情型の投稿は、受け手の感情を引き出そうとする。

 投稿の分類が終わると、ロイヤルティ・プログラムの会員と、それ以外の顧客の売上げを伸ばすうえで、どの要素に効果があるかを分析した。