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リーダーが組織文化を理解していれば、従業員間の争いや混乱を回避することができ、それは大胆かつ速やかな変革の原動力となる。しかし、目に見えない文化や社風を理解するのは容易ではない。筆者らは「変革は企業文化に従う」(DHBR2018年5月号)の中で、組織文化を決める8つの「文化特性」を明らかにした。本稿では1万件を超える追加調査に基づき、地域ごとに重視される文化特性を紹介する。


 筆者らはHBRへの寄稿「変革は企業文化に従う」の中で、組織文化に関する総合的なフレームワークを提示している(ジェレミア・リーおよびジェシー・プライスとの共著)。

 これにもとづき、HBRの読者向けにオンラインの診断ツールを公開し、自組織の文化的特徴を探れるようにした。すると、2017年12月~2019年5月の間に、世界中から1万2800件の回答が寄せられた(診断ツールはこちら)。

 この診断結果から、HBR読者の組織文化を垣間見ることができた。それらは(個々の従業員の文化ではなく)組織に浸透している行動様式と規範であり、共有され、組織全体に広がり、永続的で、暗黙的なものである。

 我々は各回答者の組織について、文化特性の相対的なランキングを検証した。これは、8つの異なる文化特性を、2つの尺度でマッピングしたフレームワークにもとづくものだ。2つの尺度とは、社内の人々が変化にどう対応するのか(柔軟性が高いか、または安定性が高いか)、そして人間関係(独立性が高いか、または相互依存性が高いか)である。

 回答サンプル全体から、いくつかの傾向が浮かび上がった。回答者の組織において最も顕著な文化特性は、「思いやり」と「結果志向」であった。職場で協働と達成が重視されていることの反映だ。一方、全体で最も少なかったのは「権力」と「楽しさ」である。つまり、決断力とおおらかさは優先度が低いということだ。