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チームの進歩に生産的な対立は不可欠だが、感情的な議論に発展して収集がつかなくなる事態を恐れて、対立そのものを回避する人は多い。しかし、問題を単に放置しても解決には至らず、自分たちの首を絞めるだけだ。本稿では、マネジャーがメンバーの感情と上手に向き合い、議論を生産的な方向に導くためのテクニックを紹介する。


 優秀なチームは、生産的な対立を手段にして、アイデアを向上させ、イノベーションを起こし、リスクを軽減するのに長けている。

 しかし残念ながら、多くのチームは、対立が引き起こしがちな感情に対処したがらなかったり、あるいは対処できなかったりして、健全な対立がもたらすメリットをみすみす放棄してしまう。あなたのチームも、その一つかもしれない。

 感情の爆発を招くのを恐れて、チームが重要な議論に背を向けるのを、私はよく目にする。もしあなたのチームもそうした状況にあるならば、いまこそ対処すべきだ。

 最初に、なぜ感情的対立を避けるのが合理的とされるのか、そのさまざまな理由を検討したい。

 ある人は過去に対立の場面で動揺し、未熟だとかプロらしくないというレッテルを貼られたことがあるかもしれない。自分の信用が傷つくことを思えば、感情的になりそうな火種のある会話を避けようとするのは、自然なことだ。

 逆に、対立したときにはっきりと物を言い過ぎて、冷酷だとか厳しすぎると不評を買った人もいるだろう。また同じことになるのを恐れて、論争になりそうな議論から遠ざかろうとするのも無理からぬことである。

 あなた自身がマネジャーとして、不快で不毛な感情的対立を経験したことがあるために、論争や対立が起きそうな議論からチームを遠ざけているかもしれない。

 だが、あなたやチームのメンバーが感情への対処を嫌がったり、不得手だったりすると、チームは問題を回避し、結局は深刻な「対立の負債」を抱えることになる。つまり、前進の妨げとなる問題が議論されず、未解決のまま累積して、自分たちの首を絞めることになるのだ。

 あなたのチームが対立から逃げているために前に進むことができず、もっと前向きに感情に対処する必要があるとならば、いくつかのステップがある。変わるために必要なのは、新しい考え方を受け入れること、新しいスキルを形成すること、そして、これまでとは違う実践をすることだ。こうしたテクニックを身につければ、感情的になることを恐れるあまり、前進の機会を逃すことが減るだろう。