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新型コロナウイルス感染症に伴い、世界中の企業が従業員を守るためにさまざまな取り組みを実施している。混乱の中とはいえ、この問題に不適切な対処を取ってしまうと、従業員や顧客から法的な責任を問われる事態を招きかねない。本稿では、企業が法的リスクを最小限に抑えるための8つのステップを紹介する。


 新型コロナウイルスが急速に世界に広がる中、企業は何よりも、従業員の安全確保に力を入れるべきだ。しかし、自社の戦略やポリシーや業務手順を見直す過程で、多くのリーダーが法的リスクを考えあぐねている。感染症対策について適切な方針や計画を定めておかないと、人事関連でさまざまな法的懸念が生じかねない。

 ほとんどの国には、勤務時間中に怪我や病気をした場合、従業員を保護するための法律がある。米国では労働安全衛生法(OSH法)が適用されるので、従業員が勤務中に新型コロナウイルスに感染した場合、一定の条件を満たせば、事業者が処罰を受ける可能性がある。こうした事態に対応する準備をしていない事業者は、従業員の補償やプライバシー侵害、差別、不公平な労働慣行、怠慢に関連する訴訟を起こされるリスクがある。

 幸い、従業員の安全と会社の法的責任に十分注意を払っていれば、従業員の感染リスクと、会社の法的リスクの両方を最小限に抑えることは可能だ。そのために企業が取るべき8つのステップを以下に紹介しよう。これらは新型コロナウイルスに限らず、あらゆる危険な感染症に対応するうえで、価値ある努力となるはずだ。