決め手を欠く状況で
的確な選択にどう導くか

 意思決定を下すべき瞬間が目の前に迫っている。データは揃い、取りうる選択肢に関して賛否両論が出尽くした。

 だが、いずれの選択肢にも決め手となるエビデンスがない。出席者一同の視線は、いまやCEOに注がれている。彼らが求めているのは優れた判断だ。エビデンスを解釈し、的確な選択へと導いてほしいのである。

 判断力とは、個人が持ち合わせている資質と適切な知識・経験を融合して意見を形成し、決断を下す能力である。『決断力の構造[注1]』の著者であるノール M. ティシーとウォレン・ベニスによると、それが「優れたリーダーの真髄」だという。決め手となる明確なデータや明らかに採用すべき策がない中でも、健全な決断を下す力だ。