コロナ危機はディスラプションを加速させる
こうした変化は、地域・国、さらには都市単位で進展するだろう。Next Normalにおいて、企業は、各国・都市単位の状況を把握し、素早い意思決定を行えるようにオペレーティング・モデルを変更する必要がある。
電動化においても、モーダルシフトにおいても、日本は独自の発展をする可能性が高い。日本だけを見るのではなく、各国・各都市の状況を素早く理解し、決断する神経系統が、日本企業の競争力を左右するだろう。
消費者は、移動手段の衛生面に、非常に大きな懸念を抱いている。この新たなニーズを満たせるか、移動手段の信頼を回復できるか、回復期の対応のいかんにより、モーダル間、企業間のシェアがシフトする。
長年、衛生概念の発達した消費者に向き合ってきた日系企業には、新たな製品やサービスを提案する力があると期待したい。
変化への社会的要請に対して、政府・企業が活用できる資源は限られている。足元では売り上げ・利益が劇的に減少する。こうした事態に直面して、企業は、過去何年も先送りにしてきた構造的な課題に取り組む必要に迫られている。
コロナ危機以前にも明確であった合従連衡、アライアンスの潮流もさらに進むだろう。いずれにせよ、各社、自らのコア事業が何か、コア事業の成長に最も必要な資源は何かといった問いに答え、事業ポートフォリオの最適化を進める必要がある。
コロナ危機以前より、モーダル・ミックスの変化による渋滞や環境負担の増加に対して、政府や都市の交通当局が、新たなモーダル・ミックスのグランド・デザインを描き、政策的にミックスの変化を誘導するケースが増えていた。
人々が安心して社会・経済生活を営めるよう、Next Normalにおける社会にとって最適なモーダル・ミックスを設計する政府や都市の役割は、これまで以上に重要になっている。
世界に冠たる自動車・交通運輸産業を有し、世界的な都市を持つ、わが国において、官民がこうした議論を進めることは急務である。
※マッキンゼーでは、COVID-19について最新情報を発信している。更なる情報については「知見」「COVID-19:ビジネスへの意味合い」をご覧いただきたい。