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多くの人が在宅勤務を強いられ、彼らの労働時間は大幅に増えている。自宅が託児所であり学校でもあるのだから、仕事の生産性が低下するのは当然だ。従業員がパフォーマンスを落とさないために大きな代償を払っているにもかかわらず、経営者はこの現状を問題視しないどころか、自慢する人さえいる。なぜだろうか。それは、フルタイムで仕事に打ち込む「理想の労働者」を称える風潮があるからだ。新型コロナ危機をきっかけに、理想の労働者の定義を見直すべきだと筆者は言う。
多くの人が在宅勤務をするようになったいま、米国人の労働時間は40%(1日約3時間)増えた。世界的に見ても最大の伸びだ。きちんと調べたので間違いない。筆者も信じられなかった。
この忙しさと生産性の問題点は、それが巨大な代償を伴うことだ。多くの人はいま、3人分以上の仕事をしている。自分の仕事と、託児所の職員の仕事、そして小学校の先生の仕事だ。
だが、多くの雇用者はそれに気がついていないようだ。多くの企業が「うちの社員(と会社)は、これまでと100%(または100%近く)同じように働いている」と、嬉々として断言している報道を見かける。
なぜ、もっと多くの経営者が、この問題に気がつかないのか。それは相変わらず、「理想の労働者」を称える風潮が広く存在するからである。