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新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、企業に重大な危機をもたらしている。ただし、この危機をきっかけとした前向きな変化も見られる。組織のアジリティを高めざるをえず、官僚主義の制約から解き放たれた結果、多くのイノベーションが生まれているのだ。危機後もこの変化を維持するために、何をすべきか。本稿では、そのための3つのポイントを提示する。
危機はまさに、イノベーションに火をつける。第二次世界大戦中に航空機やジープの標準的な交換部品が手に入らなかったとき、米軍の兵士は手づくりのキットで修理した。アポロ13号で爆発事故が起きた後、NASAのエンジニアは独創的な解決策を編み出して、宇宙飛行士を地球に無事帰還させた。
現在進行中のパンデミックも、すでに数え切れないほどのイノベーションをもたらしている。
ダイソンは新型の人工呼吸器を10日で設計した。中国のアリババと小売業大手・中白(ジョンバイ)は共同で、生活必需品や消毒用品の無人店舗をつくった。米ファストフードチェーンのチックフィレイは、テイクアウトの需要が急増したことを受けて、安全性と効率性の双方を最大限に高めるために、ドライブスルーのプロセスを十数ヵ所変更した。