(4)リモートネットワークを築く覚悟はできているか
新たなキャリアを追い求めると決心し、将来のために一踏ん張りする覚悟ができたとしよう。この場合に重要なのは、いまのこの危機の最中に、あるいは危機後に新しい会社に入るとはどういうことかを理解することである。
もちろん、先のことは誰にもわからないが、賭けをすることはできるし、しなければならない。推測なしでは計画もできない。そして、計画することは、いまのところあなたにできる唯一のことなのだ。
新入社員向けの大規模なオンボーディング研修はまず行われないだろう。研修があれば、組織のリーダーや他の新入社員と接する機会があったはずだ。それでも、面接のプロセスで必要なだけ質問することはできる。賭けは可能な限り、データに基づいて行いたい。
新しい仕事が労働集約型のものである可能性は高く、たいていの仕事で最も大きな割合を占める学習は、現場での実践的な訓練であるにもかかわらず、その実地研修もおそらくないだろう。今後会社が正式な研修をいっさい行わないという意味ではないが、あなたにはあらゆる経験から貪欲に学ぶ姿勢が必要となる。
これらを踏まえて、あなた自身がどうすれば最もよく学べるかを考えよう。バーチャルな環境で学べるだろうか。どのくらいの指揮監督を望み、必要とするのか。自分は指示に従うことを好むのか、それとも自分なりのやり方を探すことを好むのか。
この環境で成功を収めるためにはおそらく、なじみのあるコンフォートゾーンの外に踏み出す必要がある。同僚に直接会わずにネットワークを築くことはできるか。共感のような重要なソーシャルスキルをどう示し、オンライン上での新しいマナーをどう学べばいいか。選択肢を検討する際に、このような質問について考えるべきである。
大丈夫、人間は基本的に順応性のきわめて高い生き物である。その一方で、人間はきわめて怠惰でもある。常に効率よく、努力を要さない方法で解決策を求めようとする。必要に迫られたときしか、学べないのだ。
そして、いままさに我々はこの状況下で、何をすべきかを見極めなければならない。経済活動が再開しても、世界は元に戻らず変化しているだろう。新しい仕事や会社での一歩を踏み出す際に、こうした変化がどのような影響を及ぼすのか、理解しておくことが肝要だ。
(5)いまは長期的にスキルを磨くことが、新しい仕事より価値があるのではないか
最後に、もう一つの選択肢がある。これは「待ち時間を利用する方法」と言えるだろう。業務再開を待っている時間を無駄遣いする必要はない。自分への投資に充てることは可能だ。
現在、無料で学んだりスキルアップしたりするための選択肢は無数にある。イェール大学で最も人気のある講座の一つ「幸せの科学」に関する講座もあれば、マンパワーグループがフェニックス大学と協力して提供する無料講座もある。さらに、自分が学ぶべきことを知るのに役立つオープンソースのコンテンツキュレーターもある。仕事の再開を待つ間に学ぶ機会は数え切れない。
今回の危機以前から、テクノロジーの進化に伴い、スキルは変化しつつあった。いろいろな意味で、危機がテクノロジーの進化を加速させ、バーチャルで貢献する可能性を広げた。
いまは、ソフトスキルとハードスキルの両方で、どんなスキルに今後需要があるかを知る絶好の機会である。そして業務再開を待っている職場でも、一時帰休の間に挑戦すると決めた職場でも、将来生き残れるように自分に投資するのだ。
現在の仕事からの「小休止」は、キャリアマラソンや仕事の短距離ダッシュにおける短期的、長期的な考え方を再定義するチャンスだと考えよう。この時間を使って未来の自分の姿を心の中で描き直すのだ。なぜなら、たとえ同じ職場に戻ったとしても、その仕事はこれまでとはかなり違っているはずだから。
HBR.org原文:You've Been Furloughed. Now What? May 26, 2020.
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