●つながりのリストをつくる
筆者は人材紹介コンサルタントとしての最初の20年、毎日時間を見つけて一人ずつ、無職者または熱心な転職希望者を支援しようと努めた。
その過程で求職者との面談は4000回ほどに及んだが、多くはアルゼンチンで、経済が深く混乱していた時期に行われた。たとえば2001年、同国は世界史上最大のデフォルト(国家債務不履行)に陥り、300%の通貨下落と相まって年率換算GDPは30%落ち込んでいる。
その困難な時期に、筆者はこう助言していた。100の(そう、本当に100の)弱いつながりを、実際に連絡する前にリストアップしてみましょう、と。
その論理的根拠は何か。第1に、単純な統計の問題だ。誰か一人でもあなたを素晴らしい職へと導いてくれる可能性は、きわめて低いだろう。ならばその確率を上げるために、多くの人を頼みとしなければならない。
より重要な第2の理由として、これらのつながりは「弱い」ため、最も助けとなる人が誰かはすぐには明らかにならない。リストを拡大していく過程で、かなり意外な人選を加えることになり、その中には本当に頼りとなる人たちも含まれるだろう。
弱いつながりのリストに当然のように入る候補者は、かつての上司、同僚、教授、コンサルタント、弁護士、監査人、取引先、クライアントなどだ。今後の雇用主となりうる人もいれば、情報提供者となってくれる人もいるだろう。目を向けるべきは、今後数年にわたり他よりも堅調な分野、そしてあなたが本当に働きたい分野にいる人だ。
次に、リストアップした全員を2つの要素に基づいてランク付けしよう。1つは、相手があなたにオファーできる就職案件の魅力度(各人の所属会社、役職、人脈を踏まえて判断)。もう1つは、あなたを助けてくれる意思がどれだけあるかだ(付き合いがたとえ限定的または疎遠であっても、関係性の質が重要となる)。
●つながりに連絡する
ランキングのトップの相手にまず接触を図るべき、と思う読者もいるかもしれないが、そうではない。10番目くらいから始めるのがよい。
はじめのうちはナーバスになったり、緊張や気恥ずかしさを覚えたりして失敗を犯すものだ。したがって、重要度がやや低めの数人とやり取りをして自信をつけたあとに、最も有望なターゲットたちへの接触を開始しよう。上位30人程度に、速やかに、できれば1~2週間以内に連絡する(幸いにも複数の案件が浮上した場合、すべてを一度に検討するのが望ましい)。
相手が誰か、どんなチャンスが得られそうか、これまでどんな関係だったかによって、各やり取りは当然ながら違ってくる。とはいえ誰に対しても、連絡をした理由と、探している職種を正直に伝え、自分に何が求められるのかを率直に尋ねよう。
あなたとのポジティブな仕事体験がある人ならば、おそらくは助けたいと思ってくれるはずだ。しかし、こちらがどんな職を必要とし、何を目指しているかが認識・理解されなければ、相手は助けようがない。