●リードの創出を完了する
接触のプロセスをいつ終えるかをめぐっては、2種類の間違いを犯しやすい。
接触するつながりが少なすぎると、チャンスを一つも見つけられない可能性がある。接触相手が多すぎれば、あまり魅力的でない案件に貴重な時間を奪われ、最良の案件にしっかり集中できなくなるかもしれない。
ポイントは、有望な「リード」(就職のチャンスを与えてくれる人)の数が十分に揃ったところで連絡をやめることだ。
次のような例を考えてみよう。秩序立ったリストづくりと接触プロセスの結果、潜在的雇用主は3者に絞られた。あなたの予測では、1つ目の職を得る見込みは50%、2つ目は40%、3つ目は30%だ。
最低一つのオファーを獲得する確率は、1マイナス相補確率で容易に計算できる。つまり1-(0.5×0.6×0.7)=79%だ。この確率を90%にしたければ、見込みのあるつながりに接触を続ける必要がある。
このような確率は、どう予測すればよいのか。単純に自分の判断をもとにすればよい。
あなたが相手にとって最終候補3人の1人であることがわかれば、その仕事を得るチャンスは3分の1、つまり33%だ。一方、50人に1人程度にしかオファーを出さない、つまり2%の見込みという非常に望み薄のリードもいるかもしれない。
ただしこの段階では、これらのケースを除外すべきではない。100人の候補者に接触し、個々のチャンスは2%であれば、最低1つのオファーを得る見込みは1-0.98100=87%となる。
各ケースで予測に最善を尽くしながらも、この段階ではその精度を気にしすぎないことだ。各つながり先から返事が届き始めれば(または返事がなければ)、互いに関心がある場合はオファー獲得見込みが上がり、そうでなければ下がる。最終的には大半がゼロになり、ごく少数のみが大きな可能性に至る。
筆者が開発したダウンロード可能な支援ツール(英語のみ)は、追跡と記録に役立つはずだ。
●リードを管理する
この時点で、うまくいけば複数のリードがいることだろう。
特に狙いたい相手とのやり取りを増やしながらも、あらゆる可能性を活かしておくためには、有望なやり取りが生じたら、すべて積極的にフォローアップしていく必要がある。弱いつながりの相手から接触を勧められた、新たな人への連絡も含めてだ。
これは大変な作業に感じられるかもしれないが、前述した支援ツールがここでも役立つ。
完全に自動化されたエクセルのスプレッドシートで、直感的に使える一連のマクロコマンドにより、リードを次の項目ごとに簡単に並べ替えできる。氏名、立場(情報提供者か、潜在的雇用主か)、所属会社、今後やるべきこと、締切り、オファー獲得の見込み、優先度。
また、「最低1件のオファーを獲得できる複合確率」が自動的に計算されるため、リードの創出を終えるタイミングをより客観的に判断できる(ダウンロード先を再載しておく)。
●契約を固める
潜在的雇用主と話をする際、求職に関する一般的なアドバイスのすべてを守るべきであるのは言うまでもない。
履歴書を見せる前には必ず、内容を最新にして目立つようにしよう。面接に臨むときには――いまはバーチャルで行われる可能性が高いが――模範とされる慣行を確認しておこう。自由回答形式の問いや、行動に関する問いに答えられるようにしておきたい。たとえば「あなた自身について話してください」「あなたが対立を克服したとき/大きなチームを率いたとき/縦割りの壁を超えての協働を迫られたとき/変革の取り組みを成功させたときのことを話してください」などである。
準備と練習をすること。照明がよい静かな部屋を見つける、バーチャル面接に特有の課題を念頭に置いておくなども、その一環だ。
忘れてはならないのは、自分自身の優先事項、選好、広義の目的を慎重に考え、それらをすべての案件に照らし合わせることだ。
話し合いの進展に合わせて、オファー獲得見込みと新たなやるべきことを更新し、スプレッドシートを最新に保つ。最優先案件については、信頼できる紹介者のリストをつくり、潜在的雇用主があなたについて電話で尋ねてくる可能性を知らせておこう。
相手企業とそのターゲット市場について調べることも欠かせない。そしてベンチャー投資家のジェフリー・バスギャングが助言するように、「手土産」を提供するとよい。企画やプロジェクトへの協力を持ちかけることで、自分の決意と実績を示すのだ。