個人的に嫌われている場合

 能力を信頼されていないのではなく、上司に個人的に嫌われている場合はどうすればいいのか。上司が気質的につながりを感じない場合のサインは、能力に懸念があるときのサインとは異なる。

 まず、アイコンタクトに注目しよう。目を合わせるかどうかは、一緒にいることが快適かどうかの最も明白な指標の一つだ。

 コミュニケーションの専門家ニック・モーガンによると、人間の潜在意識は、アイコンタクトなどのボディランゲージが出すサインを解読するのが非常にうまい。あなたの上司が、同僚と比べてあなたと目を合わせることが著しく少ない場合、あなたと合わないと思っている証拠だ。

 アイコンタクトだけでなく、あなたと交流したがらないように見えるとき(あなたが休憩室に行ったら席を立ったり、ビデオ会議に参加したら退室したりするとき)も、気が合わない証拠だ。

 ただ、年齢や性別や文化、スタイルが違いすぎて、上司があなたに共感を覚えないだけかもしれない。これは特に、あなたが挙げたポップカルチャーの例に上司がピンとこない様子だったり、あなたのジョークが通じないとき明らかになるだろう。

 ここで一つ、注意したいことがある。「上司に嫌われている気がする」という感覚に対して深刻に考えすぎる前に、上司のあなたへの態度と、同僚への態度との間に明確な違いがあるか確認しよう。単に上司が社交下手で、これまで述べてきたようなサインは、あなたが相手だからではなく、人付き合い全般に対する居心地の悪さを表しているだけの可能性は十分ある。

 自分と合わない(と思っているらしい)上司との関係を強化したい場合はまず、仕事について話をしよう。上司がどのトピックに最も反応するかを見極め、そのエネルギーを活用するチャンスをつくるとよい。

 たとえば、「研究開発部門でのご経験は本当に興味深いです。そこでのマインドセットなどで、私たちの部門に応用できるとことはあますか」などと尋ねてみよう。あくまで仕事関連の話題にとどめれば、上司のあなたに対するきまずい感覚は小さくなるだろう。

 上司の話を聞きながら、どんなことを重視する人物なのか見極め、それを会話に反映させよう。たとえば、「計画通りにいかなかった研究開発プロジェクトのお話はとても興味深かったです。私たちのチームがリスクを取ったら、どんなプラス面が得られるでしょう」といった具合だ。

 上司に「おっ」と思わせるトピックを見つける努力は、上司のスタイルにあった接し方を探す助けにもなる。「人間は自分のことを好きな人を好きになる傾向がある」という事実も利用できるだろう。つまり、上司に好かれたいなら、まずは上司を好きになることだ。

 上司との関係を強化するためには何を言えばいいかわかったら、何を見せるか(ボディランゲージ)を研究しよう。ボディランゲージの専門家マーク・ボウデンは、へその位置で両手を開くジェスチャーを勧める。こうすると、相手はあなたに親しみを感じやすいというのだ。

 ボウデンによると、へそのあたり(ボウデンはこのエリアを「トゥルースプレーン(truthplane)」と呼ぶ)をさらすことは、あなたが武器を持っておらず、安全な環境だと思っているサインになる。したがって、あなたの上司は、あなたと一緒にいることを自然と心地よく思うようになる。

 上司との関係改善するもう一つのボディランゲージは、アイコンタクトに関する上司の好みを知ることだ。前述の通り、目を合わせること避けたがる人もいる。あなたの上司がそのような人物であるなら、無理に目を合わせようとすると、積極的すぎるとか激しすぎる印象を与えるかもしれない。

 この場合、上司と話をするときの立ち位置に気を配ろう。会議室では、上司と同じ列に座り(向かい合う席ではなく)、会話は隣り合って歩いているときがよいだろう。

 上司が出すヒントを読み取り、それにあったボディランゲージをして、つながりを強化しよう。