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直感を頼りにすると、かえって間違った方法で上司の信頼を得ようとすることになる場合があるように、上司に気に入られようとしているときに、直感が大きな弊害を及ぼす場合がある。
まず、人間にはネガティビティ・バイアスがあるため、ありもしない問題をあると思い込むことがある。あなたの上司が目を合わせたり、雑談に応じたり、あなたのジョークに笑わないのは、大きなプレッシャーにさらされているからかもしれない。特に、一緒に仕事をするのが初めての場合は、上司の言動を深読みしすぎないこと。
また、上司に嫌われていると確信した場合でも、パニックになって話しかけすぎたり、子犬のように上司につきまとわないこと。望まない注目をされすぎると、上司はますます引きこもってしまうかもしれない。
上司のことで同僚に愚痴を言いたい衝動に抵抗することも極めて重要である。ゴシップは事態を悪化させるだけだ。したがって、過剰反応せず、上司の言うことに純粋に感心があることを態度で示して、上司が話をしたいと思わせる隙間時間をつくろう(ミーティングの前後やエレベーターの中、ほかの人が電話会議に参加する前など)。
最後にもう1点。上司との関係構築に努める一方で、よそでの仲間づくりも開始しよう。同僚との関係づくりに投資すること。同僚たちがあなたを好きで、あなたを信頼すれば、それが上司に影響を与える可能性は高い。同僚たちがあなたをチームの大きな財産だと考えていたら、上司が悪いイメージを持ち続けるのは難しいだろう。
組織の中で上司以外のスポンサーを探すことも重要だ。引き続きメンターになってもらえる元上司はいないだろうか。部門横断的なプロジェクトで、よそのリーダーと仕事をするチャンスはないか。もしそうしたチャンスがあるなら、その関係は、いまの上司との関係をどうにも改善できない場合に、あなたの存在が見落とされてしまうリスクを小さくするだろう。
それから、自分のレジリエンス(再起力)にきちんと投資すること。リラックスして仕事の外で友人とつながる機会を持とう。会社で過小評価されていると感じることは、心身に大きなダメージを与える場合がある。そこで、あなたを大切にしてくれる人たちと時間を過ごすことを重視しよう。
研究によると、上司との関係は職場経験で最も重要な要素の一つだ。上司に信頼されていないと、素晴らしい機会を逃したり、マイクロマネジメントに苦しんだりすることが多い。
上司の期待を明確にし、あなたの能力に対する信頼を高め、あなたが結果を出すという安心感を高めることにより、上司の不当な評価は是正できる。上司があなたと能力的には信頼しているけれど、個人的には好きではないらしい場合は、話をするのをやめて、相手の話に耳を傾けよう。上司の視点を理解すれば、相手もあなたに少しずつ心を開いてくれるだろう。
上司との関係があなたの望むようなものではなくても、希望を失わないこと。アプローチを変えれば、ピンとくる瞬間が訪れるかもしれない。
HBR.org原文:What to Do If Your Boss Doesn't Like You, July 29, 2020
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