
米国で人種的・経済的公平を求める運動が活発化する中、ビジネスリーダーもその実現に向けて動かなければならない。非白人のエッセンシャルワーカーを苦しめる低賃金の労働環境を改善して、「よい職場(good jobs)」の創出に力を注ぐのだ。貧困と差別の悪循環を断つことは、自社の事業にも社会にも多くの恩恵をもたらす。本稿では、企業リーダーが実践すべき6つのステップを示す。
米国人は過去の清算を求めている。
警官による残虐行為と、新型コロナウイルス感染症の大流行が非白人にとりわけ打撃を与えている構造的不平等が、人種間の公平を求める声をさらに大きくしている。パンデミックの最中も最前線で働き続けてきた人々が危険な状況に耐えていることは、経済的な公平を求める機運を生み出している。
いずれの不公正も、それぞれ明確な原動力があるが、互いに増幅し合い、しばしば同じ人々を最も苦しめている。マーティン・ルーサー・キング・ジュニアが思い出させてくれるように、経済的公平と人種的公平は厳然とつながっているのだ。
この危機的状況に対処するために、現代のビジネスリーダーは、第2次世界大戦のまっただ中に「よい職場(good jobs)」の創出に力を注いだビジネスリーダーを見習う必要がある。
何百万という米国人があまりにも長い間、低賃金、乏しい福利厚生、不安定なスケジュール、尊敬と尊厳の欠如の中で取り残されてきた。そして米国の雇用主はあまりにも長い間、これらの条件を、意図的な選択ではなく、ビジネスを行ううえで必然的なものだと思い込んできた。
しかし、筆者の研究が明らかにしているように、「悪い職場」は選択肢の一つであって、必要不可欠なものではない。そして、「よい職場」を提供することも、利益最大化のためであれ、低コストで競争している企業の選択であれ、選択肢として存在する。
以下に、低賃金の「悪い職場」で働く従業員が多すぎることに雇用主が留意しなければならない理由と、悪い職場をよい職場に変えるための最初の6つのステップを説明する。