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アルゴリズムが差別と偏見を助長するリスクへの関心が高まっているが、人工知能(AI)の役割が拡大することによる問題はそれだけではない。アルゴリズムの設計・開発に関与する人と、アルゴリズムの指示を受けて働く人という役割が固定化され、経済的不平等がより拡大する可能性がある。この問題を解決するうえで、ビジネスリーダーが果たすべき責務は大きい。


 アルゴリズムによる差別と偏見のリスクに対する関心が高まり、厳しい監視の目が向けられ始めたのは、まったくもって当然のことだ。しかし、社会で人工知能(AI)の役割が拡大することの悪しき副作用は、それだけではない。仕事の性格そのものが変わり、社会のシステムに不平等が根を張りつつある。

 ロボットに雇用を奪われる未来を恐れる人は多いが、恐れるべきことはそれだけではない。多くの人がアルゴリズムに管理される職に就くようになり、未来への明るい見通しがほとんどなく、昇進の可能性も皆無に等しい状況に追い込まれた時、どのような問題が生じるのか考えてみてほしい。