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人工知能(AI)はビジネスに新たな機会を生み出す反面、運用を間違えれば、アルゴリムが不公平なバイアスを増幅させ、社会に負の影響をもたらしかねない。それを防ぐうえで、人間が果たすべき役割はきわめて大きい。本稿では、グーグルでこの問題と向き合うAIエンジニアが、包摂性、公平性、社会的有益性を保ちながら、AIが持つ可能性を引き出すために何をすべきかを論じる。


 技術革新をもたらす最大の原動力の一つである人工知能(AI)は、産業界にインパクトを及ぼしながら、まったく新しい機会を生み出している。

 エンジニアリングの観点から見ると、AIはデータ工学が進化したものにすぎない。優れたAI施策のほとんどは、汚れ一つないレーシングカーというより、泥だらけの軽トラックのような役割を果たす。つまり労役に使われる馬のような技術であり、生産ラインの安全性を5%高めたり、映画のレコメンド機能を少し向上させたりといった、地味な働きをする。