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在宅勤務が常態化したことで仕事と家庭生活の境界線が曖昧になり、それは働きながら子育てする母親たちのキャリアを脅かしている。マネジャーは、彼女たちの状況を理解しているだろうか。仕事と家庭を両立する難しさは、パンデミックの当初からまったく変わっていない。本稿では、働く母親たちに仕事を続けてもらうために、マネジャーがやるべき3つのことを示す。


 新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、女性のキャリアを深刻なまでに脅かしている。

 2020年9月だけでも、86万5000人の女性が米国の労働市場から退出している。一方、同時期に労働市場から退出した男性は21万6000人だった。さらに、4人に1人の女性が仕事をやめるか勤務時間を減らすかを検討中である。

 働く母親はどうすれば子どものいる家で在宅勤務できるか、仕事と家庭生活の境界線(またはその欠如)をどう調整し、学校側の決断に伴う不安にどう対処するかについて、数多くのアドバイスがなされている。

 それでも筆者らが2020年夏、働く母親たちにインタビューしたところ、多くはこうした問題を自力で解決しており、雇用者や上司は積極的に問題解決に取り組んでいなかったことがわかった。

 筆者らは、インタビューした母親たちに上司たちがどのように支えてくれたか、または支えてくれなかったかを尋ねた。彼女たちは全員雇用されており、16歳未満の子どもがいて、パートナーもいた。対話を通して、彼女たちが置かれた状況は持続不可能であり、女性をさらに労働市場から退出させる恐れがあることが判明した。

 感染者数の急増に立ち向かい、多くの地域でロックダウンが検討されている中、母親たちがパンデミックの最中とその後も仕事を続けるために、マネジャーにできることが3つあることを筆者らは発見した。

可能な限り確実性や明瞭性を示す

 インタビュー中に頻繁に耳にしたのは、将来に関する不確実性によって、インタビュー参加者の生活にストレスや混乱が増したということだった。

 パンデミックに対する一般的な不安、雇用に関する懸念(新しい仕事に就いたばかりの場合や、自分が身を置く業界の衰退を感じた場合を含む)、家から職場へ電話することや物理的に職場に戻ることに関する不安など、いずれもストレスの原因になる。

 あるITアナリストの女性は、物理的に職場に戻らなくてもよいと会社に保証された期間が、わずか1週間追加されただけだったと打ち明けた。働く親にとってこの期間は、安心できる子どものケアを手配するにはあまりに短すぎた。

 ●推奨

 それができる場合には、従業員に確実な情報を示すとよい。仕事に関する期待とパフォーマンス基準を明確にしよう。方針の変更はタイムリーに伝えたい。従業員の現在の状況を知らせ、どんなことを決断中で、その理由が何かを伝え、次の計画に関する情報を共有しよう。

 例として、「遠隔勤務を選択する場合、2021年1月28日までは続行可能」「少なくとも2020年12月15日まで従業員をレイオフ(一時解雇)しないと約束する」などと雇用者が保証すると、不確実性から生じるストレスを緩和するのに役立つ。