部下たちは見ている

 家庭と職場の間の境界線は消えてしまい、すぐに戻ってくる可能性が低い。したがって、マネジャーが従業員の仕事以外の生活をないものとして振る舞う選択肢は、もはや存在しない。

 筆者らのインタビュー参加者もそうだったように、従業員は雇用者がこの危機にどう対応しているかに注意を払っている。マネジャーがここに挙げた提案に従えば、重要な人的資源である働く母親たちはモチベーションを保って働き続ける可能性が高いことが、筆者らの研究からも示されている。

 法律事務所に勤める専門家の一人は、次のように言った。「私は上司と相談して勤務スケジュールを変更した。わずかな変更で状況はかなり改善した。上司は『大丈夫? 子どものいるあなたにとって大変な事態なのは承知している』と尋ねてくれた。信じられないほどいい人たちで、この人たちのためなら身を粉にして働きたくなる」

 このようなコミットメントは、パンデミックが収束しても消えずに残るだろう。筆者らの研究は働く母親に焦点を当てたが、働く母親を支援する職場環境をつくれば、全従業員に支援が行き渡る。従業員が必要とする支援を行うことで、組織はたえず問題に先手を打つことができる。

 雇用者やマネジャーが、このような従業員の要望に注意を向けることを願っている。働く母親たちの生産性やウェルビーイング、雇用維持がかかっているからだ。


HBR.org原文:3 Ways Companies Can Retain Working Moms Right Now, November 12, 2020.


■こちらの記事もおすすめします
新型コロナ危機で有能な女性社員が流出するのを防ぐ方法
働く親は自分のアイデンティティのすべてを仕事に持ち込もう
コロナ危機でジェンダー平等を前進させる3つの方法