
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴うリモートワークへのシフトは、働き方に変革をもたらした。リモートワークはさまざまな恩恵をもたらす一方で、女性にとっては歓迎できないことも多い。子どもを持つ女性の場合、それはなおさらだ。リーダーが対処の仕方を間違えると、有能な人材が流出してしまう恐れもある。本稿では、そうした事態を防ぐために、企業が乗り越えるべき4つの障害を明らかにする。
新型コロナウイルス感染症(Covid-19)は、私たちの働き方や子育て、そして自分やコミュニティとの関係にまで変化をもたらしてきた。アフターコロナの社会がどのようになるかはまだわからないが、リモートワークへの世界的なシフトは、多くの企業で対面業務や厳格な労働時間の改革をもたらすというコンセンサスが生まれつつある。
この働き方革命は、伝統的に、柔軟な働き方からより大きな恩恵を受けてきた女性たちにプラスに働くのか。ある経済学者のグループによる最近の論文は、「イエス」と答えている。現在の状況は、柔軟なリモートワークを常態化させ、一段と幅広い分野で働く女性たちが利用できるようにするというのだ。
筆者らは、この展望に同意しつつも、リモートワークの急拡大が女性に恩恵をもたらすとは限らないと考えている。
というのも、新型コロナ危機が拡大する中、女性のキャリアを妨げ、企業が女性の能力を過少活用したり、失ったりすることにつながる障壁の多くは拡大しているからだ(詳細は近日刊行予定の著書Glass Half Brokenで説明している)。
現在のプラクティスに、小さいながらも重要な対策を組み込まなければ、この危機が終わったとき、多くのリーダーは長期的な人材不足に陥るだろう。女性社員が今回の危機の巻き添えを食らうことを防ぎ、企業が女性の現在および未来の能力を活用できるようにするためには、4つの大きなバイアスと障害に対処する必要がある。
ただし、中核業務から焦点をシフトさせるべきだと言っているわけではない。キャッシュフローや社員の安全、リーダーやクライアントとの交渉を優先するのは正しいことだ。また、必要不可欠な業種のリーダーたちは、経営上のさまざまな問題に対処しつつ、在宅勤務では対応できないオペレーションの維持に力を注いでいる。
だが、在宅勤務に移行した社員を管理するリーダーにとって、女性社員の忠誠を勝ち取るとともに、会社が苦労して手に入れたジェンダー・インクルージョンを維持するためには、いくつかの明快な措置を取るべきだ。