●このプロジェクトの目的と必要とされるプロセスはどのようなものか

 時間をつくって、それぞれが成功をどのように定義し、そこに向けてどのような道筋を思い描いているのかを明確にしよう。双方が誤解なく、「同じ方向に向かって船を漕いでいる」ことを確認する。

 新しいウェブサイトの開設、新規顧客の獲得、新製品のローンチなど、どのようなプロジェクトであっても、目標とロードマップを明確にすることは、相手にとって何が重要かを理解し、信頼関係と共通の目標へのコミットメントを醸成するのに役立つだろう。

 ●誰が、何を、いつまでに行うか

 スラックが2019年に実施した調査では、責任分担の明確化が、職場における優れたチームワークの最も重要な特徴の一つであることを明らかになっている。だが同時に、小さなスタートアップと大企業に最も共通した問題の一つとしても、それを取り上げている。

 あらかじめ責任分担を明確にすれば、相互の作業負荷のバランスが取れる。知らないうちに相手の領域を侵したり、互いの仕事が重複したりするのを防ぎ、縄張り行動を回避しやすい。

 さまざまな成果物の進捗と納期に関する責任分担を一緒に設定すれば、より明確さが増し、当事者意識を確たるものにできる。それだけでなく、両者で定期的に進捗チェックを行うようにすれば、目標達成の可能性が95%高くなる

 ●互いが好むワークスタイル、互いの強みは何か

 ワークスタイルの違いは、いら立ちや対立の原因になりやすい。しかし、最初に話し合い、相互に理解すれば、チームワークをいっそう効果的なものにできる。互いの強みを知ることは、仕事の分担を決める時に役立つだけでなく、どういうことなら相手に相談し、相手の判断に委ねるべきかの目安にもなる。

 筆者が、リーダーシップ開発の会社を一緒に立ち上げた相手と初めて会った時、彼女の大局的な物の見方、革新的なアイデア、マーケティングの専門知識が、ビジョンの構築、ターゲット市場の設定、そして創業当初に大成功を収めたプログラムの需要創造に役立った。実務家である筆者の細心の運営管理、さらに財務の経験によって経営が円滑に進み、それも会社の利益につながった。

 もし創業当初、互いのワークスタイルや強みの違いに気づいていなかったら、筆者は彼女のアイデアを「絵に描いた餅」だと思ったかもしれないし、彼女は筆者の現実主義的な部分を窮屈に感じたかもしれない。しかし、二人はその違いをプラスに転じた。

 筆者のかつてのクライアントで、ある経営コンサルティング会社のパートナーは、数カ月ごとに統括するチームが変わった。彼は、自分の好むワークスタイルと強みを文書にまとめ、「ラジの取扱説明書」と名付けた。それを新しいチームメンバーに渡し、相手にも同じ情報を求めたうえで、互いの違いを上手に活かし、誤解や対立に発展させなかった。