
リーダーシップは重要かと問われれば、誰もがイエスと答えるだろう。だが実際には、有能な人材がチームプロジェクトを率いる機会を断ったり、困難な状況に直面してもリーダーシップを発揮できずにいたりすることが少なくない。組織の成長にも個人の成長にも、リーダーシップが欠かせないにもかかわらず、機会を前に躊躇してしまうのはなぜか。筆者らの調査から、その妨げとなる3つのリスクが浮き彫りになった。これらのリスクを軽減し、組織のあらゆるレベルでリーダーシップを育てるために、マネジャーは何をすべきか論じる。
「怒り」「競争」「非難」「攻撃的」「強引」――。これらは筆者らの最近の調査で、「リーダーシップを発揮する立場」から連想される言葉として挙がった回答の一例だ。
組織の大半が、リーダーシップスキルを持つ人材を切実に必要とし、そして多くの従業員や求職者がリーダーシップに関心があるにもかかわらず、リーダーの立場になる機会を追求することについて匿名を条件に尋ねると、消極的な反応が多く見られた。
この結果は、私たちの実体験の多くと一致する。有能な同僚がチームプロジェクトを率いる機会を断ったり、困難な状況に直面したマネジャーが責任を取らずに事が起きるのをただ待っていたり、リーダーシップを取ることを「選択しない」のはよくあることだ。
強力なリーダーシップは、組織にとっても個人にとっても成長に欠かせない。にもかかわらず、なぜ訪れた機会をつかむ人がもっといないのか。
こうした消極的な姿勢について検証するために、筆者らは複数の定量的調査と定性的調査を実施した。まず、成人の労働者100人以上にインタビューと調査を行い、リーダーシップを発揮する立場になることを考えたものの、実行に移さなかった時のことを尋ねた。
次に、コンサルティングプロジェクトチームに携わるMBA課程の学生400人以上を追跡するフィールド調査を行った。同じ学期中に複数回にわたってアンケート調査を行い、チームメンバーのリーダーシップに関するリスクに対する認識と実際のプロジェクトにおけるリーダーとして貢献に関する相互評価を調べた。
最後に、マネジャー約300人とその部下を対象に、リーダーシップに関するリスクと同僚のリーダーシップ能力に対する評価について調査を行った。