3つのタイプのリスク

 調査の結果から、リーダーシップを発揮することを躊躇させるリスクとして、3つのタイプがあることが明らかになった

 1. 対人関係のリスク:回答者が繰り返し口にした最初の懸念は、リーダーとして行動することで同僚との関係が損なわれることだ。

 ある回答者は、リーダーの立場になることを躊躇する理由について「友情を危険にさらして、人の気持ちを傷つけたくない時もある」と説明した。別の回答者は「嫌われたり、陰口を言われたりする」のが不安だと述べた。

 リーダーシップが対人関係を損ねることへの恐れは、筆者らのインタビューと調査に共通して最も多い回答の一つだった。

 2. イメージのリスク:共通する2つ目の懸念は、リーダーシップを取ることで他者から悪く思われることだ。

 ある回答者は「知ったかぶりをしていると思われたくない」との理由で、リーダーになることには消極的だと述べている。別の回答者は「チームメンバーから、やや攻撃的だと見られるかもしれない」と不安を明かした。

 組織も従業員も概して、リーダーシップは素晴らしいものだと主張しているにもかかわらず、実際にリーダーとして行動すれば、同僚から悪く見られるかもしれないと不安に思っている。

 3. 非難されるリスク:最後に、リーダーシップを発揮する立場になると、チームが失敗した場合に個人的に責任を問われることを、多くの人が恐れていることが明らかになった。人々は、チームの失敗で自分が責められ、そのことで昇進や今後のリーダーシップの機会が失われることを懸念していた。

「仕事を率いていれば、悪い結果が見込まれるだけで自分に責任が押し付けられる恐れがある」と、ある回答者は答えた。別の回答者も同様に「プロジェクトがうまくいかなければ、リーダーとして自分が非難される」と述べた。

 失敗と関連づけられたり、非難されたりすることへの恐怖は、リーダーになる機会を奪う大きな妨げになっている。

 上記の3つのリスクは、調査対象となったMBA課程の学生、マネジャー、従業員の間で共通してリーダーになることの意欲に大きな影響を与えていた。

 これらのリスクを認識すると、学生はプロジェクトチームでリーダーシップを発揮しなくなり、マネジャーはリーダーとしての行動(部下に知的な刺激を与える、ビジョンを明確にして主張する、期待値を高く設定するなど)が少ないと部下から見なされ、従業員は同僚からリーダーシップを示すことが少ないと評価された。