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ビジネスの世界でもEI(感情的知性)の重要性は高まるばかりだ。しかし、この概念を世に広めたダニエル・ゴールマンは、「EIが高い人は、いい人である」という間違った理解から、職場で多くのトラブルが起きていることを懸念する。EIの高いリーダーは、誰にでもいい顔をして、対立を避けるのとは違う。自己認識、自己管理、社会性、人間関係管理という4つの領域で、正しく力を発揮することが必要とされるものだ。本来、有用なはずのこのフレームワークがなぜ誤解されるのかをひも解き、リーダーみずからEIを高めるための指針を示す。


 筆者の著書『EQ こころの知能指数』が刊行されて25年が経つが、相変わらず、EI(感情的知性)が高いことを「いい人であること(nice)」だと間違って理解している人が多い。だが、そうではない。これを誤解するとトラブルに陥ることになる。

 誰かが同僚のことを「いい人だよ」と言ったら、それはたいてい「一緒に働きやすい人」という意味に受け止められるだろう。だがそれは、小さな問題を見えにくくする可能性がある。たとえば、その人が「誰に対していい人なのか」という問題だ。