(1)現実的に何を目指すか

 ERGを設置しても、パンデミックが収束するわけでもなければ、働く親に降りかかってきた難題をすべて解決できるわけでもない。しかし、目標を具体的に設定し、その目標達成に向けて踏み出すことはできる。

 たとえば、危機を乗り越えようとする従業員を全力で支えたいという経営幹部の意志を、明確に示すことができるだろう。あるいは、従業員の「うまくいく秘訣」を探り出して共有し、組織の共有財産とすることや、リモートワークをしている母親、父親を結び付けて支援ネットワークを強化することも可能だ。

(2)すでに成果を上げている取り組みにはどんなものがあるか

 うまくいっている取り組みを割り出し、それを起点に発展させていこう。もしかしたら、子どもを持つ男性従業員が数年前から会議室で集まって、ランチを食べながらざっくばらんに話し合っているかもしれない。であれば、もう少し幅を広げて、子育て中や介護中の従業員が気楽に参加できる話し合いをZoom上で開こう。

 あるいは、スラック上に子どもを持つ従業員のチャンネルが設けられていて、従業員が定期的に利用しているかもしれない。その場合には、子どもたちのオンライン学習の面倒を見ている親や、介護中の従業員、その他の問題を抱えている従業員のためにサブグループをつくろう。

 また、社内のERGで講演会が人気を集めていれば、類似のイベントを増やそう。その際には、働く親が差し当たって抱えている悩みをテーマに取り上げよう。

(3)ERGを代表する「顔」が多様性を示し、どんな人からも共感を得られているか

 あなたの属する組織では幸運にも、ERGの活動が活発であり、また上級幹部の1人以上がスポンサーとして支援に関わっているかもしれない。それは願ってもない状況だ。経営層から強力なメッセージを発信していることになる。

 だが、もしかしたら、子どもを持つ従業員全員が「自分たちのためのグループ」だと認識しているとは限らないかもしれない。言っておくが、働く親にはいろいろなタイプがある。男性に女性、血を分けた子どもを持つ親に養子を迎えた親、異性愛者に同性愛者、さらに、経歴は多種多様、所属部署はバラバラ、所得には大きな開きがある。

 ERGのリーダー層がこうした多様性を反映していなければ、そろそろ支援してくれるスポンサーを迎えたり、ERG委員会を設置(あるいは拡充)したり、別のイベント担当者を探したりしてみよう。また、働く親全員を歓迎するニュアンスの言葉を意識して使おう。

(4)適切なメンバー募集方法にはどんなものがあるか

 組織内での従業員の働き方や、感染拡大から時間が経っていることを踏まえて、子どもを持つ従業員に働きかける最適の方法を考えること。

 長時間勤務やZoomを使った会議が日常化していれば、子育てや介護をしている従業員はこれ以上、オンラインのセミナーにはあまり気が進まないはずだ。その場合には、対話プラットフォーム上で質問を投げかけるほうがいいだろう。

 あるいは同僚同士で声をかけ合ってみたり、同じような悩み(子どものオンライン学習の監督法、よちよち歩きの子どもの育児など)を抱えている親が少人数で集まって話し合うイベントを開催したりするほうが、大人数が集まるイベントよりも好まれるだろう。

 この場合、誘いかける際のキーワードとしては「オープンな雰囲気」「ざっくばらん」「参考になる」「短時間で終わる」などが挙げられる。