
ここ数年、ダイバーシティ&インクルージョン推進のために従業員リソースグループ(ERG: employee resource group)を活用する企業が増えているが、まだ草の根的な存在であることも多い。しかし、コロナ禍で仕事と子育ての両立に苦心する従業員をサポートするのに非常に有用である。そこで、ERGをうまく設置し、活用するためのヒントとなる8つの質問を紹介する。『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』2021年4月号の第2特集「仕事と子育てのマネジメント」関連記事。
新型コロナウイルスは、働く親を危機に陥れた。本稿を読んでいるあなたは人事担当者か上級幹部、あるいは進取の気性に富む働く親で、子どもを持つ従業員のために、従業員リソースグループ(ERG:employee resource group)を組織内に立ち上げようとしていたり、すでに活動しているERGの存在感や活気、意義を高めようとしたりしているに違いない。
だが、以下のような問題に直面している人もいるかもしれない(当てはまるものに丸をつけてほしい)。
・実際のところ、何をしたらいいかわからない。
・従業員に過剰な期待を抱かせたり、期待に応えられなかったりするのではないかと不安だ。
・経営資源(時間、資金、人材)に乏しい。
・ベストプラクティスとはどんなものか、他社はどうしているのかわからない。
・ERGの構成、スポンサー(支援者)、メンバー募集方法について協議中である。
・すでに運営している他のERGと、働く親のERGがうまくかみ合うかどうか疑問だ。
以上のような理由でERGの設置をためらっていたとしても、それはあなただけではない。働く親のERGが設置されるようになったのは、ここ数年のことだ。非公式の草の根的な存在であることも多い。つまり、一筋縄ではいかないERGの設置・運営プロセスについて解説するマニュアルは皆無なのだ。
にもかかわらず、責任は大きい。あなた個人が使命感に燃えているにせよ、所属組織から求められているにせよ、子育てと仕事を両立させたい同僚のために何かしようと考えていることは間違いないだろう。
しかし、あなたの所属する組織がパンデミック下でそのまま何も対策を講じなかったとすれば、雇用主としての企業ブランドに傷がつくおそれもある(コロナ危機に直面しても、子育て中の従業員を支援する姿勢をはっきり示さなかったという風評に果たしてさらされたいだろうか)。
これ以上先延ばししたり、包括的な5カ年計画の策定に頭を悩ますよりも、次に何をすべきかを効率的かつ簡潔にまとめよう。その際は、以下に挙げる8つの質問がヒントになるだろう。言うまでもないが、影響力の大きいグループを立ち上げようと思えば、検討すべきはこの8つに留まらない。だが、差し当たって検討すべき勘どころと言える。
あなたがスタートアップで人事を一手に引き受けているのであれ、多国籍の大規模企業でERG委員会に参加しているのであれ、あるいは働く親のERG創設に他の形で関わっているのであれ、重要な意思決定に的を絞り、障害を乗り越え、行動重視の姿勢に向かううえでこの8つが役に立つはずだ。