なぜ女性リーダーは
より有能だと見られるのか

 評価された各リーダーに対しては、彼らの部下が感じる満足度と相互の信頼に基づいた従業員エンゲージメントのスコアも付けられた。男性リーダーの部下のエンゲージメントレベルは平均をわずかに下回ったが、女性リーダーの部下のレベルは有意に高かった。男女ともに全体の平均は51パーセンタイルだった。

 エンゲージメントレベルの差の要因を深く理解するため、部下が挙げた、危機下に最も重要な能力に着目した。彼らはとりわけ「他者を触発し動機づける」「力強いコミュニケーション」「協働とチームワーク」「人間関係の構築」などの対人スキルを重視し、これらはすべて女性のほうが評価が高かった。

 筆者らの分析は、前述した米国の州知事に関する調査結果と一致している。女性リーダーは、部下が抱いている可能性のある不安、健康に対する懸念、自分たちの計画への自信をより意識していることを示している。

 危機下で収集したデータの中で最も価値があるのは、何千人もの部下がいま、リーダーに対して何を重視し、何を必要としているのかの意見を聞けたことかもしれない。

 データによれば、彼らが求めているのは、ピボット(方向転換)して新しいスキルを身につけることのできるリーダー、困難な時も従業員の育成を重視するリーダー、誠実で正直なリーダー、そして人々が感じているストレスや不安、フラストレーションに敏感で、それを理解できるリーダーだ。

 筆者らの分析では、こうした特徴は女性に多く見られた。しかし、危機が継続し、多くの場所で激化しているいま、性別に関係なくすべてのリーダーはこうしたニーズに応えるよう努力すべきだ。


HBR.org原文:Research: Women Are Better Leaders During a Crisis, December 30, 2020.