Illustration by Lucy Jones

女性リーダーは「ガラスの天井」に直面するだけでなく、「ガラスの崖」に突き落とされることもある。危機的な状況に陥った時、失敗する可能性が高い仕事を押しつけられやすいのだ。女性は実際に、危機下で男性よりも優れたリーダーシップを発揮するのか。筆者らの調査により、そのことを裏付ける結果が導かれた。


 女性リーダーのキャリアを語る時、「ガラスの崖」と呼ばれるものがある。これは当然ながら、女性が組織の上級幹部職への昇進を目指す際に直面する、目に見えない障壁を意味する「ガラスの天井」に対する言葉だ。

 ガラスの崖は、会社が危機に陥った時、女性リーダーが会社を救う役割を任されることを表す。女性たちはやっとのことで上級職に就いて能力を示す機会を与えられると、すでに壊れていて、失敗する可能性が高いものを担わされるのだ。

 そうしたことが頻繁に起きるのを目の当たりにした筆者らは、女性は実際に、危機下のリーダーとしてより資質が高いのだろうかと疑問を抱いた。それが困難な時に指導を任される理由なのか。

 新型コロナウイルスの危機の中で、女性リーダーのほうが優れた仕事をしているという話は耳にしてきたが、新たな研究がそれを裏付けている。

 ある研究では、症例数や死亡者数を含む新型コロナウイルスにまつわる結果は、女性が率いる国のほうが系統的に優れていることが明らかになった。米国の知事に関する別の研究でも、女性知事の州は死亡率がより低かった。

 組織の男女それぞれのリーダーについて、現在の危機への対応で何らかのパターンがあるのかを調べるため、筆者らは360度評価のグローバルデータベースを検証した。