●まず同僚や友人に話してみる
パンデミックの危険な副産物の一つは、対人的な孤立感が強まることだ。
社会からの孤立はバーンアウトを悪化させる。健全なコミュニティが存在しないと、自分が感じていることに関する会話のほとんどが、自分の頭の中で行われるからだ。残念ながら、こうした内的な会話は、自分自身や上司、仕事、自分の周りの世界について、信頼性を欠く結論に至る傾向がある。
上司に打ち明けることはリスクが高すぎると感じるなら、まず誰かに相談してみよう。友人や親しい同僚、あるいはコーチやセラピストと、バーチャルなつながりを確立する。
信頼できる相談相手が何人かいて自分の気持ちを調整できると、たとえば上司との会話の予行演習ができると、先の見通しが大きく変わる。エバンと筆者は、彼が上司に伝えたい要点の概要を話し合い、いくつか事前に練習した。
●不満をぶつけるのではなく、助けを求める
上司と話をする前に準備することによって、感情を吐き出したり、相手を責めたりする会話を避けられる。共感することに慣れていない上司には、「私は燃え尽きています」という訴えが、「あなたが私を燃え尽きさせたのです」と聞こえてしまうかもしれない。
非難の要素を排除するために、あなた自身が精神的に疲れていない時や、うんざりしていると感じていない時に、上司と話をすること。こうした感情は、上司に打ち明けようという決断を後押しするかもしれないが、実際に話をする時には役に立たない。
たとえば、上司からふだん以上の仕事を指示されている時は、彼らはすでに罪悪感を覚え、自己防衛的になるかもしれない。さらにあなたの感情がたかぶっていたら、上司の感情をあおるだけだ。
あなたが助けを求めていることと、自分も解決したいことを、明確に伝える。今回のパンデミックは多くの人にとって、仕事と、社会生活や家庭と、セルフケアの時間との境界線を曖昧にして、いずれにもうまく対応できないという無力感を生んでいる。そこで、仕事を終える時や始める時の境界線を、より明確にする必要がある。
休息や、より柔軟な働き方、増えた負担に対応するための追加のリソースが必要なら、具体的かつ丁寧に依頼する。過剰な要求は、「私がバーンアウトしたのはあなたの責任だ」という権利の主張と受け止められかねない。
●時間をかけて自己分析をする
バーンアウトの危険な側面の一つは、自分で気がつかないうちに視点が歪められることだ。自分を振り返りながら、ファクトとフィクションを慎重に区別しなければならない。
パンデミックがバーンアウトを引き起こした人もいれば、実はすでにバーンアウトが始まっていたという人もいる。数カ月前、数年前から仕事に嫌気が差していたが、パンデミックのように極端な状況になって初めて、自覚しただけかもしれない。
休息を取れるなら、仕事から少し距離を置くことによって、自分の感情が状況的なもので、よりよいセルフケアを習慣にすれば効果があるとわかるかもしれない。あるいは、キャリアの次のステップを考える時期だと、気づくかもしれない。
●自己満足に陥らない
上司と話すことで安心したり、一時的に元気が出てきたりするかもしれない。仕事を休んだあいだは、よく眠れるようになり、体を動かす機会が増えて、より希望的な観測を取り戻せたと感じることもあるだろう。
こうした兆候に、早すぎる勝利宣言をしたくなるかもしれない。必要のないメールに返信したり、上司が一時的にほかの人に任せたプロジェクトを「確認」したりなど、自分が決めた健全な境界線が曖昧になり始めるかもしれない。
しかし、忘れてはならない。自分を労わることは長い戦いであり、継続する必要があるのだ。こうした初期の兆候は、バーンアウトに対処する計画が順調に進んでいる証拠であって、完了したという意味ではない。
残念ながら、すべての上司が、あなたのバーンアウトについて期待通りの対話をしてくれるわけではない。彼らも、あなたと同じように圧倒されているかもしれない。
それでも大半の上司は、手助けをしたいと思っている。不健全な状況でくすぶり続けるより、あなたの心身の健康のために、上司にあなたを手助けする機会を与えよう
HBR.org原文:How to Tell Your Boss You're Burned Out, January 05, 2021.